2019年11月29日 1602号

【11・5米国地方選でDSA 議席獲得/大統領選勝利へ草の根の力示す】

 米国では11月5日、州知事、地方議会選挙が行われた。大統領選でトランプが制した南東部ケンタッキー州で民主党知事候補が勝利、東部バージニア州議会では上下院で民主党が逆転多数派になるなど、1年前の中間選挙で示されたトランプ批判票が今回の選挙でもはっきり表れた。とりわけ新自由主義に対抗する政策を掲げるアメリカ民主主義的社会主義者(DSA)の候補者(推薦を含む)が多数の勝利を手にしている。DSAのウェブサイトに11月6日掲載された即日発表、速報の要旨を紹介する。

強さ示した選挙の夜―即日発表

 DSAは再び注目を浴びている。全米10州で、これまで以上に多くの社会主義者が当選したからだ。農村部でも郊外や都市部でも数千人の有権者が投票し、労働者階級の利益となる政策が選挙で勝利することを証明したのである。

 「今日は市議会選、明日はホワイトハウスだ」とDSA全国政治委員のアブドル・ユヌスが言った。「今日は2020年に向け、我々の草の根運動がいかに強いかを試すものだった。この国の最も裕福な人びとはフィラデルフィアからサンフランシスコまで、大量の資金を選挙戦に投入し、富裕層を守ろうとした。それに対抗して、DSAは民衆の力が金持ちに勝利するのだというメッセージをもう一度送ったのである」

 この社会主義者の新たな議員団は、ここ数か月の間に全米で湧き上がる労働者階級の行動の一部なのだ。多数の労働組合員―UAW(全米自動車労働組合)からシカゴの教員まで―が変革を勝ち取るためにストライキに突入している。「人びとは、議員の政策は不平等にまみれていることを知っている。金持ちの利益なのか我々の利益なのかをごまかそうとすることに飽き飽きしているのだ」とユヌスは続けた。

 全米の人びとはわかっている。政治の違いは政党によるのではなく、我々の多種多様な個性に分断の種をまこうとする富めるエリートによることを。そして、我々が階級的連帯によってそれに組織的に抵抗できることを知っている。

 グリーン・ニューディール(環境保護のための変革政策)、メディケア・フォー・オール(すべての人のための公的医療保険)、エデュケイション・フォー・オール(教育の完全無償化)―これらは単なる机上の政策ではない。労働者が少数の者のためではなく多くの人びとにとってより良い世界を作るのに活用できる手段なのである。

全国で勝利するDSA候補(速報)

 我々はすでに10州で勝利し、リードしている州もある。小さな町で、大きな都市で、北東部で、西海岸で、南部で、中西部で勝利した。いくつかの典型例を挙げる。

 バージニア州では、シャロットビルDSAの創設者で地域オルガナイザーのマイケル・ペインが市議会選挙で勝利した。地域の発展、住居資金の提供をはじめ、警察の説明責任を制度化し、カーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量を増やさない)都市への計画案作りを進めている。

 フィラデルフィアDSAは、労働者家族党や進歩的団体の連合と共闘し、ケンドラ・ブルックスが共和党の市会議員に取って代わる成果を得た。彼女は民主党や共和党以外で議席を勝ち取ったフィラデルフィア史上初の候補である。選挙共闘は、生家を競売にかけられたこの母親のために、20万軒以上のドアをノックした。その当事者であり、労働者であり活動家であるケンドラ・ブルックスは、多くの民主党員が彼女ではなく共和党議員を継続させようとしたにもかかわらず、議員の座を獲得した。

 ボストン支部は、ケンブリッジ市議会議員選にDSAのジバン・サブリノ・ウィラーを立て勝利した。借家人の組織者で、自身も借家人である彼は、すべての人に住居を≠ニ公約に掲げた。ケンブリッジ市は今や議会に借家人がいるだけではない。無料の公共交通機関や市営ブロードバンド(ネット通信)、MIT(マサチューセッツ工科大学)、ハーバード大学の資金援助による公立学校卒業生のための無償高等教育を提唱する者がいるのだ。

 テネシー州ノックスビルでは、アメリア・パーカーがDSAの議員シーマ・シングに合流した。そしてコロラド州ボールダーでは、ジュニー・ジョセフが当選。DSAの議員キャンディー・スデバッカのいるデンバーの近くだ。

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