2019年11月29日 1602号

【あらゆる分野で当事者と市民が安倍政権追及 ZENKOワンデーアクション】

 臨時国会ただ中の11月11日、ZENKOの中央省庁要請行動=ワンデーアクションは、介護、教育から基地、原発問題まであらゆる分野から当事者と市民が安倍政権を一斉に追及するかつてない行動として注目を集めた。参加者に報告を寄せてもらった。

防衛省交渉 市民目線で「100%安全か」と追及

 防衛省交渉は市ヶ谷の防衛省本庁舎内会議室で行われた。交渉団は全国から16名。質問事項は、ZENKO署名の請願内容と連動した4点にしぼり、▽辺野古新基地建設反対、▽宮古島などミサイル部隊計画撤回、▽秋田・山口のイージス・アショア配備撤回と青森・京都のXバンドレーダー撤去、▽ホルムズ海域派兵反対を突き付けた。防衛省側がZENKOの交渉に8課13名もの大勢で出てきたのは初めてだ。

 これまでの建設工事をめぐる技術的専門的な質問には防衛省は常套句の回答しかしない。今回は市民目線からの素朴な質問に切り替えた。交渉団16名の半数が職員に向かって追及の声を上げた。

 宮古島の保良弾薬庫建設問題では、「200bしか離れていない弾薬庫がなぜ安全なのか。法令で問題はないというのはおかしい」「保良が絶対安全と言えるのですか。100パーセント安全と言えるのですか」。沖縄戦で日本軍の保良弾薬庫が爆発し女性が死亡したことを担当職員は知らなかった。対して、「地元の新聞にも出ていること。事故を知っているおじいさんは今反対運動の先頭に立っている」と説明、追及する。

 京都からは、前日の10日京丹後で開催されたXバンドレーダー撤去集会の内容が話された。「地元住民は反対し、大きな集会もあった。米兵が住民に銃を向ける訓練していた。こんな米軍の違法をだまっているのか」と現場の具体的事実を突きつける。

 署名活動の戸別訪問の中で寄せられた市民の声も紹介された。「たった4人で自衛隊の派兵を決めるのはおかしい」とただすと、「まだ派遣は決まっていません」とあわてて弁明する場面も。

 短時間ではあったが、市民の生の怒りの声を届けることができた交渉だった。さらに内容を充実させ、追及課題も拡大した交渉をめざしたい。

(ZENKO全国事務局・西岡信之)


厚労省交渉 「自治体の柔軟対応可能」と回答引き出す

 厚生労働省に対しては、15名を超える参加者が、要請文と合わせて、緊急に集めた452筆の要請署名を提出。繰り返される自己負担増、介護給付切り下げの直撃を受けた事業所や利用者の怒りととおもに、支援の充実を求める訴えを厚労省に突きつけた。

 要支援に続き要介護1、2の生活援助について、介護保険からはずし地域支援事業への移行が検討されている。

 小規模事業所からの声として、「通所者の多くが要支援や要介護1や2、認知症の方も多く、見た目には元気でも一人では外出や買い物にも行けない。介護からはずされたら在宅生活はできない」「介護関係職員の給与は低い。職員確保のために、介護職場の誰でも給与アップできる補償を国の責任で行え」との切実な要求も届けた。

 厚労省側は「改定案は検討中、決まっていない」と紋切り型の答弁だ。しかし、現場からの声に「要支援の方にも専門的な支援が必要な方の保険サービスは枠組みとして残している。自治体で判断すればよい」と回答せざるをえなかった。

 さらに、65歳以上の障害者が介護保険優先ありきの機械的対応で1か月間支援が受けられず褥瘡(じょくそう 床ずれ)ができた例などで国の姿勢を質した。この点では、「介護保険優先の原則はあるが、各自治体が個別の事情を把握して障害福祉サービスが必要だと判断すれば、柔軟に障害者福祉で対応できる。この見解を地方に伝えている」との回答を引き出した。

 国だけでなく自治体への柔軟な対応を求める根拠を獲得し、実態を踏まえた現場の声は大きな力になることを確認できた。行動の大きな成果だ。

(平和で豊かな枚方〈ひらかた〉を市民みんなでつくる会・手塚隆寛)


文科省交渉 教員の変形労働時間制導入断念を要求

 文部科学省には、20人以上の市民とともに、教員に1年単位の変形労働時間制を導入する「教職員給与特別措置法」改悪案の断念を要請。担当職員は予定を超え45分近くユニオンからの8項目に答えた。

 提案理由とされた長時間労働の現状は精神疾患休職教員の増加にも影響していることを認め、パワーハラスメントの増加との関連では「調査すべき課題」と回答した。

 1学期の長時間労働の疲労をためたまま夏休みまで待って休めでは過労解消にはならない、学期中の終業時刻を延ばし「勤務時間内」扱いにしても仕事の実態そのものは減らない、という当たり前の指摘は認めざるを得ず、「事務量の削減等の総合的な施策で…」との弁明しか言えず。育休や介護事情者への除外配慮も結局は各自治体任せであることが明らかになった。

 文科省は法改悪を前提にして「3年後に勤務実態調査を行い、それを基に『給特法』のさらなる改定を含めて検討を続ける」と表明した。私たちは、改定ではなく「給特法」自体の廃止と、教員への「労働基準法」適用(超勤手当支払い)を要求した。

 「過労解消」を悪用した今法案はむしろ教員削減を狙うものだ。欠員なら民間から派遣を≠フ民営化ではなく、公教育は文科省の責任で正規教員増を≠ニ強く求め、要請を終えた。

(教職員なかまユニオン・笠松正俊)
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