2019年12月06日 1603号

【1603号主張 日韓市民連帯の力で 戦争導くGSOMIAは破棄だ】

土壇場の「失効回避」

 日韓両政府は、韓国が日本に対して破棄を通告したGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の「失効回避」で合意した。11月22日午後6時、失効6時間前という土壇場だ。

 今回の合意で日韓両政府は互いに相手を譲歩させた≠ニ主張する。だが、日本政府は経済制裁(輸出貿易管理令の「ホワイト国」からの韓国除外)を解除したわけではなく、韓国政府も破棄を一時停止しWTO(世界貿易機関)提訴を中断したにすぎない。実態は変わっておらず、両政府がどのようにも解釈できる玉虫色の「決着」なのだ。

 GSOMIAをめぐる対立は、安倍政権の排外主義と文在寅(ムンジェイン)政権の強硬姿勢で作りだされたのではない。韓国の世論調査ではGSOMIA「破棄支持」が51%だ。戦争のためのGSOMIAは要らない。日本政府は元徴用工に補償せよ≠ニいう韓国市民をはじめとする闘いがGSOMIAを失効寸前に追い込んだ。両国市民は東アジアの平和を何より望んでいる。

 これに対して、米国政府からの圧力を含む日米韓軍事同盟を強化したい3か国戦争勢力が猛烈に巻き返し、GSOMIA失効を阻んだ。土壇場「合意」の真相だ。

戦争勢力に未来なし

 日本メディアはGSOMIA失効回避に対し、いっせいに「歓迎」を表明して安倍の戦争政策を後押しする。中国、朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、ロシアを仮想敵に仕立て「失効で得をするのはこれらの国だけ」として日米韓軍事一体化の必要を訴える世論誘導が行われている。

 安倍が排外主義宣伝の契機とした、元徴用工への賠償を認めた韓国大法院判決は、国際法に則ったまったく正当なものだ。日韓両政府は、徴用工や日本軍「慰安婦」問題を当事者抜きで解決しようとしては失敗してきた。侵略戦争と植民地支配の責任を果たそうとしない日本政府、そのごまかしに乗り被害者抜きの決着に走った韓国政府への強い怒りがその背景にある。無権利労働の象徴である徴用工問題の解決は、今を生きる日韓両国労働者にとってもグローバル資本による奴隷労働からの解放への道を切り開く。日韓市民の責務なのだ。

 戦争を導くGSOMIAを破棄する闘い、日本政府に経済制裁解除と徴用工への謝罪・補償を求める闘いは続く。排外主義扇動で批判をかわしてきた安倍は「桜を見る会」の税金私物化や公選法違反等の追及で窮地に立ち、トランプ米大統領はウクライナ疑惑をめぐる弾劾調査開始で追い込まれている。市民の意思を無視した文政権も支持率急落に直面する。民意に背く連中に未来はない。

平和構築の連帯集会へ

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける「東アジアに平和を作ろう!韓国と沖縄の反基地平和運動と連帯し武力なき平和をつくるスピーキングツアー」が11月30日北海道集会からスタートする。日韓市民の連帯した闘いで戦争勢力を追いつめ、東アジアの平和を切り開く方針と展望を共有する場となる。全会場で成功させよう。排外主義を許さず、日米韓軍事一体化反対、すべての基地撤去の闘いを広げ、トランプ、安倍ら戦争勢力を追放しよう。

   (11月24日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS