2019年12月06日 1603号

【千住フードパントリー スタートのつどい/すべての人が食事の心配をすることのない社会へ/12月7日プレオープン】

 東京・足立区千住地域にフードパントリー(食料配給所)を、と「平和と民主主義をともにつくる会・東京」が呼びかけ、2020年初めのオープンに向けて着々と準備が進められている。

 同会事務局長の石島孝さんは「食料の大量廃棄の一方で、貧困層は食べるものさえ抑えている。この構造を地域から変え、住民とともに行政を動かす力になれば」と立ち上げの意義を語る。

 日本の食品ロスは646万d(家庭289万d、企業357万d)。国連の世界食糧計画(WFP)による年間支援量(380万d)の1・7倍に匹敵する。他方、貧困ライン以下で暮らす日本人は約2000万人で、少なくとも200万人以上が食べることに困っているとされる。

 まだ食べられる食料の寄付を受け、食を必要とする人びとに提供する「フードバンク」はアメリカで始まり、日本では現在、74団体が活動する。フードパントリーは、企業や個人から寄付される食料を、登録した生活困窮者に直接配布する役割を担う。

開設の意義を学ぶ

 11月16日、「千住フードパントリー(仮称)スタートのつどい」が開設予定場所である千住関屋町のパラマウント共同スペースで開かれた。日本で最初のフードバンク、セカンドハーベスト・ジャパン(セカンドハーベストは「2回目の収穫」の意)の芝田雄司さん作成のパワーポイントを使い、学習した。

 芝田さんは「フードセーフティーネットが構築された社会とは、すべての人が経済レベルに関係なく、明日の食事に心配することなく、いつでも必要なときに栄養のある食べ物を得ることができる社会」とし、「非正規雇用、子どもの貧困、老後破産、介護離職など社会不安が広がる中、フードセーフティーネットを通して安心な社会の構築が必要」と訴えている。ニューヨーク(人口841万人)には緊急的に食品を受け取れる場所が1100か所=7641人に1か所あるが、東京(1334万人)は15か所=89万人に1か所。3万2500人に1か所の香港ベースで試算しても410か所必要なのにもかかわらず、という。

制度改革につなぐ

 学習の後、千住で立ち上げる意義から利用の手続きまで多岐にわたって熱心な議論が交わされた。

 「食に困っているからと言って、公害食品を提供してよいのか」「消費期限や安全管理など、食品を取り扱うルールに則って行う」「放射能汚染もある。流通しているから安全、ではなく、気を付けながら摂取する点では同じ姿勢が大切だ」

 「利用をきっかけに生活相談を受ければ、困窮者支援に役立つのでは」「スタッフには栄養士や精神保健福祉士、医療ワーカーら専門家がいる。行政の敷居は高い。相談から他機関へとつなげていければいい」「車で宅配する場合も、ただ配るだけではなく、顔の見える会話を通して何でも話せる信頼関係をつくりたい」

 「この事業は本来、行政がやるべきこと。民間が行う意義は何か」「代行するのではなく、行政が直接取り組まない中で、地域には食を求める住民がこんなにいるという実情をつきつけ、制度改革につながる運動をめざす」

 「まだまだ知られてない。どうやって希望者をつかむのか」「地域にチラシをまいている。必要とする方にいかに情報を届けるか、工夫したい」

 千住フードパントリーの「プレオープン」は12月7日。担当責任者の藤平りつさんは「1度目は『食の支援が必要と自分で思う方』はどなたでもどうぞ。事前予約し、千住パントリーで受け取るか宅配希望かなど申し込んでほしい。2度目以降は役所や社会福祉協議会、私たち相談窓口での紹介状発行が必要になります」と説明した。

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■千住フードパントリー・プレオープン 12月7日15〜17時 千住関屋町8―8 2階
■事前予約申し込み 12月4日18時まで ファックス:03―5284―4971 メール:tomonitsukurukai.tokyo@gmail.com



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