2019年12月06日 1603号

【今こそ過去に誠実に向き合うとき 強制動員問題の真の解決めざし集会 被害者の人権回復こそ】

 韓国大法院の「徴用工」判決から1年。安倍政権が「解決済み」に固執し、被害者を顧みない現状を日韓市民の連帯で打破しようと11月24日、都内で集会「今こそ過去に誠実に向き合うとき―強制動員被害者に人権回復を」が開かれた。「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」が主催した。

 シンポジウムで、吉澤文寿新潟国際情報大学教授は「判決のポイントは植民地支配の不法性、日本企業の反人道的な不法行為と原告の個人請求権を認定したこと。日本政府はこれを『日韓』問題、日韓請求権協定の問題にすり替えている。植民地支配が加害行為であり、朝鮮半島の人びとの多くがその被害者となったことに認識を新たにすべき」と指摘。

 川上詩朗弁護士は「安倍政権下でも、加害企業が事実を認めて謝罪する動きがあれば変わる。日本の裁判所は植民地支配の違法性までは認めないが、個別の人権侵害の違法性には言及している。中国人強制連行の西松建設事件で最高裁は、敗訴させたとはいえ『関係者が救済に向けた努力を』と付言し、救済の必要性を認めて解決の法的環境を整えた」と可能性を示した。

 1997年の釜石製鉄所元徴用工遺族と新日鉄(当時)との和解を例に展望を語ったのは大口昭彦弁護士。「新日鉄の法務担当者だった唐津恵一さんらが誠意をもって対応し、原告の日本に対する悪印象を変えていった。新日鉄は韓国現地での追慕祭に代表を派遣し、釜石製鉄所内で行った鎮魂祭に遺族を招待。知らん顔できないという企業側の誠意、お互いの人間としての直接の交流が真の解決につながる」と強調した。

 名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会の高橋信さんは、2007年以来493回を数える三菱重工本社前金曜行動や2010〜12年の同社との和解協議を振り返り、「金曜行動は光州(クァンジュ)に『勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会』を誕生させた。協議は決裂したが、パイプは維持している」と成果を挙げる。集会にメッセージを寄せた近藤昭一(立憲民主)、本村伸子(共産)両衆院議員は愛知・東海の選出。高橋さんは「2人とも名古屋のいろんな市民団体が“包囲”しまくっている。地元で議員にレクチャーする、地元か議員会館を攻め上げていくことが大事」と市民のあきらめない取り組みを呼びかけた。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS