2019年12月20日 1605号

【ミリタリー・ウォッチング/世界最大規模の武器見本市 日本で開催/アジア市場狙う死の商人】

 本紙1603号で市民の抗議活動を中心に伝えられた総合武器見本市「DSEI Japan」。

 2001年からロンドンで、2年に1回開催されている世界最大規模の武器見本市「DSEI」の初の海外出張版である。11月18〜20日、千葉県幕張メッセを舞台に、国内で前例のない規模の武器見本市が開催された。日本の防衛装備庁と英国の国際貿易省がブースを出展。日英両政府の肝いりで、日本企業約50社、海外企業約100社が出展し、「本家」にも引けをとらない武器ショーを繰り広げた。

 世界で悪名高い「死の商人」たちもこぞって参加した。中東をはじめ各国の内戦や紛争地で暗躍し、不法な武器輸出を続け、世界中から非難を浴びている犯罪的な軍需企業である。ロッキード・マーチン社、レイセオン社、BAEシステムズ社、ロールス・ロイス社は、イエメンへの無差別空爆を続けるサウジアラビアに武器を供給している。

 これらの企業は核兵器製造企業として、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が展開している銀行に対するダイベストメント(投資引き揚げ)キャンペーンの対象だ。さらに、ジェネラル・アトミクス社は、民間人を巻き添えにする米国のドローン戦争に無人攻撃機「プレデター(食肉獣)」などを供給し、戦争犯罪に加担している。

 そして、米キャタピラー社やイスラエルのエルビット・システムズ社、IAI社、ラファエル社は、イスラエルによるパレスチナ人虐殺や抑圧に関与している。イスラエルは、パレスチナを輸出兵器の実験場≠ニしており、ガザ地区への侵攻後すぐに非公開の武器見本市を開催しているという。

 そのイスラエルの軍需大手3社が初めてそろって出展したのも今回の特徴の一つだ。9月10日には、防衛省がイスラエル国防省との間で、武器と技術に関する秘密情報保護の覚書を結んでいる。3社の出展もイスラエルとの軍事的な連携強化の一環と言える。

 なぜ「DSEI」初の海外出張が日本だったのか。今後大きく広がるアジア武器市場を見据えて日本と海外の武器企業の利害が一致したからである。「安倍政権は、東南アジアで拡大する中国の影響力に対抗して、武器の輸出と軍事的技術提携を外交の新たな柱にしようとしている」(ロイター)との指摘のとおり、日本企業との合弁会社設立や提携を通して海外軍需企業のアジア展開への橋渡しの役割を担おうとの狙いが浮かび上がっている。

日本ですでに常態化

 注意すべきなのは、今回の「DSEI Japan」以前に、日本での武器見本市はここ4〜5年で常態化していることだ。すでに本格的な武器見本市として「MAST Asia」がパシフィコ横浜で1回、幕張メッセで2回、「ISDEF JAPAN」が川崎とどろきアリーナで毎年開催されている。

 今、武器見本市が憲法改悪の実体を明らかにしている。この問題に正面から向き合う取り組みが急がれる。

 多くの武器見本市は公共施設で開催されている。スコットランドのグラスゴーで開催された武器見本市に対して大規模な抗議デモが行われ、グラスゴー市議会は「対抗政策」を採択した。自治体への働きかけは日本でも重要な課題だ。

豆多 敏紀
平和と生活をむすぶ会

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