2020年01月03・10日 1607号

【沖縄 反基地/2019年の動き/辺野古土砂投入は総土量の1%/工事変更申請許さず6月県議選へ】

 沖縄の2019年反基地平和運動をふりかえる。

 まずは辺野古新基地建設。

 18年12月14日に開始された土砂投入も1年で1%しか進んでいないことが明らかになった。防衛省は、10月末現在、埋め立て区域2か所の進捗率を(2)工区で1割、(2)−1工区で7割とする。この進捗率は面積しか見ていない。

 土木技師で沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは「埋め立て総土量は2062万立方bで、投入されたのは23万2千立方b。土砂は1・1%しか入っていない」と指摘。「このペースでは、土砂投入を終えるまでに60年ほどかかってしまう。実質的に完成は見通せない」と述べた。

 国は年明けにも軟弱地盤の改良工事への設計概要変更申請を狙うが、もはや新基地建設計画は破綻している。ただちに工事を中止し、沖縄県と真摯に話し合うべきだ。

県民投票実現「反対」圧倒

 19年の沖縄は、2月、「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票」を全市町村で実施するかどうかの攻防で幕が明けた。

 自民系5首長による県民投票予算を執行しない動きが表面化。これを打破したのが「県民投票の会」共同代表の大学院生の、元山仁士郎さんのハンガーストライキ(断食闘争)だった。元山さんは投票事務の実施を求め、「県民みんなで投票したい」と主張した。応援する県民からの厳しい批判に、自民党沖縄県連はやむなく「県民投票全県実施」に方針転換。一人の青年の行動が社会を動かした。

 県民投票は72%という圧倒的な埋め立て反対の民意を示した。しかし、安倍政権は「辺野古が唯一の選択肢」と投票結果を切り捨てた。

照明弾が民間地に落下

 19年も米軍機からの落下物事件が続発した。落下物を避けるため校庭に4か所の避難施設を設置した普天間第二小学校では、児童の危険回避回数は700回を超えた。

 ヘリの窓枠や部品の落下にとどまらない。嘉手納基地では、米兵のパラシュート部隊が昼夜関係なく、基地内に降下する訓練を実施。96年SACO(日米特別行動委員会)合意に基づく「伊江島飛行場で実施」の確認も無視された。一方、その伊江島では、米兵が提供区域外の民間地に降下する事故まで発生した。10月、本部(もとぶ)港で市民・労働者が止めた米軍車両は、訓練で海上に落下した場合のための米兵救援ボート運搬車だった。

 12月にはキャンプ・ハンセンの迫撃砲照明弾が金武(きん)町伊芸の水田など民間地数か所に落下。一歩間違えば大変な事故になるところだった。場所は沖縄高速道伊芸サービスエリアのすぐ近くだ。

 日々の戦闘機の爆音や騒音に加え、上空から危険物がいつ落ちてくるかわからない。沖縄の日常は異常だ。

南西諸島への配備強行

 南西諸島全体への自衛隊ミサイル部隊配備も19年中に急速に進んだ。

 宮古島では、3月千代田地区に陸上自衛隊警備部隊が発足した。駐屯地内にはミサイルは置かないと防衛局は説明していたが、実際は「保管庫」に搬入されていたことがわかった。慌てた岩屋防衛相(当時)は謝罪し「すでに撤去した」と釈明したが、真実は不明のままだ。現在、保良(ぼら)地区での弾薬庫建設工事を住民の強い反対を押し切って強行しようとしている。

 石垣島でも3月、陸自駐屯地の工事が着手された。18年、石垣市民による「陸自配備の賛否を問う住民投票」条例は市議会で否決された。それでも市民が11月に住民投票実施を求めて市を提訴すると、自民党市議らは、住民投票などを定めた「石垣市自治基本条例」そのものを廃止する条例を提案。民主主義を破壊する暴挙に出た。全国でも例のないこの条例案は、しかし市民の強い反発で12月議会で否決。一進一退の攻防は続く。

正念場の2020年

 12月18日、政府は20年度の沖縄県への一括交付金予算を発表した。新基地に反対する翁長雄志前知事の就任以来6年連続で減額。19年度よりも79億円も減らした。使途の自由度の高い一括交付金減額は、県―玉城デニー知事の裁量権を狭めることを狙う。県幹部は「県に対して予算の面からけん制する狙い」と語る。

 安倍政権はまた、自民党県議や市町村議員を使い、玉城県政への妨害を企ててきた。20年6月には県議会選挙が控える。安倍は、この県議選で与野党の勢力を逆転させ、辺野古新基地建設をスピードアップさせることをもくろむ。

 辺野古埋立設計変更申請や県議選など沖縄は2020年、正念場の年となる。安倍打倒の闘いとともに、全国から連帯をいっそう強めよう。 (N)

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