2020年01月03・10日 1607号

【見えない貧困に手を差しのべる/千住フードパントリーがプレオープン 東京・足立区】

 12月7日、足立区千住関屋町にあるパラマウント共同スペースでフードパントリーが開催された。企業などから寄付された食品を経済的に困っている方へ届ける活動だ。主催は平和と民主主義をともにつくる会・東京。今回のお試し開催は9世帯の方と出会い、「見えない貧困」に手を差し伸べる取り組みとして成功した。

開催直後にもメール

 「シングルマザーです。フードパントリーを受けたい。7日は過ぎてしまったので次回予約できたらうれしい」とメールが届いたのは開催直後。食品が残っており渡せることを伝えると「ありがとうございます、とても助かります」。早速16日の来所が決まる。予約も3か月分申し込みをされた。

 宣伝期間が短かく周知できたのは実質2週間。スタッフは、近隣への戸別訪問やポスティングをぎりぎりまで行い、必要とする人に一人でも多く情報を届けたいと6千枚強のチラシを配布した。ともにつくる会の島六三さんは1日6時間、2日間かけて2400枚を配り切った。事務局の石島孝さんは、戸別訪問で高齢単身世帯の女性から利用希望を受けた。他にも訪問を受けた人から「受け取れますか」と申込みが入った。今回利用された9世帯のうち6世帯がチラシを見て。取り組んだ宣伝が一つ一つ実を結ぶ結果となった。

多くの申し込みに驚き

 スタッフを担った田中克治さんは「大成功だよね。すごく良かった。やりがいあった」と充実感を語る。責任者を務める藤平りつさんは「これだけ申し込みがあったことに驚き。8月から毎月事務局で準備を重ね、運営など話し合いを積み重ねてきた成果。一人でも多く利用できる場にしたい」と2月の正式オープンに向けて熱意を燃やす。

 見えない貧困は地域のどこに潜むのか―20代若年単身世帯からひとり親家庭、高齢者世帯、障がい者世帯など、既存の行政施策が行き届かない人たちとの出会いを生み出すことができた。恒常的な食の提供を通してつながることで、いざ困った場合にも「助けて」と言える関係を作ることができ、地域のセーフティネット機能を果たすものだ。

 また、今回のパントリー利用から地域で開かれている「親子カフェ」の参加につながった事例も。柔軟な関係性を幾重にも築くことで、貧困化・格差拡大に対抗できる地域づくりを深めていく取り組みが始まった。

(平和と民主主義をともにつくる会・東京 土屋のりこ)

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