2000年06月16日発行644号

【沖縄 畑や漁場を破壊する無法な海兵隊演習 嘉手納に劣化ウラン弾配備】

 五月二十四日、沖縄の米空軍第一八航空団司令官は、嘉手納弾薬庫に 劣化ウラン弾(注) を保管している事実を初めて明らかにした。

 説明によると、その劣化ウラン弾は在韓米軍に配備されているA10対戦車攻撃機用の三〇ミリ機銃弾で、朝鮮半島から中近東有事に備えたもの。同司令官は「劣化ウラン弾は人体への悪影響はない」と開き直った。だが、その量など詳細は不明だ。

 要するに、保管しているだけで沖縄では使わないから問題はないというのである。

 沖縄では、九五年十二月から九六年一月にかけて海兵隊のハリヤー垂直離着陸攻撃機が鳥島射爆場に劣化ウラン弾千五百発以上を発射するという事件が起きている。米軍は、マスコミが事件を嗅ぎつけるまで一年以上も事件を隠し続け、日本政府への通報は翌九七年一月。政府も約一か月間、沖縄県に知らせなかった。こうした米軍と政府の対応に県民の怒りが沸き上がり、劣化ウラン弾の県内からの即時撤去が大きな声となった。

 米軍は、当時岩国など在日海兵隊基地に貯蔵していたすべての劣化ウラン弾を撤去して米本国に移設したと発表した。それがごまかしの対応であったことが今回の嘉手納弾薬庫での劣化ウラン弾保管表明で明らかになった。

使用済み薬きょうを民間業者に払い下げ

 しかもデタラメな砲弾管理の実態が浮かび上がっている。劣化ウラン弾の使用済み薬きょうが民間の鉄くず業者に流出していたのだ。

 沖縄・西原町の鉄くず業者は「六、七年前にキャンプ・キンザーから鉄くずとして購入した」と語っている。問題の薬きょうはドラム缶に詰め込まれ数百発分ある。表面に「DEPLETED URANIUM(劣化ウラニウム)」と表示され、鳥島で使われた劣化ウラン弾と同一の形状となっている。

 放射性物質付着の可能性のある劣化ウラン弾の発射済み薬きょうが鉄くずとして払い下げられるということは、在沖米軍に劣化ウラン弾の管理・取扱い基準が存在しないか、仮にあってもまったくズサンかである。問題は、その薬きょうの砲弾がいつどこで使用されたのかということだ。鳥島なのか、別の場所か。要は米国本土でできない射撃訓練や廃棄処理を日本に押しつけているのであり、それを日本政府も許容しているのだ。

 劣化ウラン弾配備は沖縄だけでなく、弾薬庫を抱える全国の米軍基地で有り得る問題だ。実態の公開と完全な国外撤去を求めていかねばならない。

サンゴを破壊し畑で射撃訓練

 ことは劣化ウラン弾にとどまらない。環境や住民財産・生産現場を破壊する無法な米軍演習が強行されている。

 四月二十七日、キャンプ・シュワブの強襲揚陸用水陸両用車六両が、沖縄本島宜野座村松田の沖合い約三百メートルの漁場でサンゴにわだちをつけるなどの破損被害を与えた。通告もなく訓練水域外を我がもの顔で運航。ウニやモズクの養殖場を荒らし、サンゴを破壊し漁場に大きなダメージを与えた。操業中の漁民との事故すら有り得た。

 さらに五月二十三日、キャンプ・シュワブ所属の海兵隊員が北部東村高江のサトウキビ畑でライフル射撃訓練を行ない、四輪駆動車によって畑のうねが破壊された。住民のひとりは「畑を見れば作物を植えていることは分かると思う。あまりにむちゃくちゃなやり方だ」と語っている。

 沖縄市・嘉手納町・北谷町の三市町連絡協議会は、劣化ウラン弾の撤去を米側に申し入れる方針を確認。水陸両用車問題では、県水産業中央会・漁業協同組合連合会・漁協組合長会の三者が、県に対し日米両政府に補償実施などを申し入れるように要請した。東村議会は民間近接地での射撃訓練の中止などを全会一致で可決した。県民の怒りが噴出し、基地との共存を説く稲嶺県政は対応に追いまくられている。


(注)劣化ウラン弾

 比重の重い劣化ウランを弾心に用いて、戦車などの装甲板を貫く砲弾。湾岸戦争やNATOのユーゴ空爆で大量使用され放射能による環境汚染を引き起こしている。日本国内では劣化ウラン弾は原子炉等規制法によって禁止。米国内でも訓練では特定の施設以外での使用を禁止している。

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