2001年02月23日発行678号

【絶滅危惧種ノグチゲラを守るには?】

 海兵隊北部訓練場は軍事施設であったために森林伐採や林道建設などの開発・土木工事の手が入らなかった。このため亜熱帯の常緑広葉樹(イタジイ)の自然林が残された。このイタジイの自然林がやんばるの希少種も含めて多くの生物種を守ってきたのである。

ノグチゲラ

 世界でやんばるだけにすむ一属一種のキツツキ。キツツキの仲間だから、木の幹の中に巣を作るが、イタジイの自然林だけが生息地である。イタジイの幹に直径十五センチ、深さ三十〜五十センチの穴をあけて営巣する。巣の八〇%以上がイタジイ。復帰後に自然林が大規模に伐採され、その後に植林された二次林ではほとんど繁殖しない。

 現在の生息数は最も多い推定値でも五百羽、最小推定値は九十羽前後で、絶滅寸前である。絶滅すれば属ごとこの地球上からなくなり復活することはない。生息が確認されたヘリパッド周辺の生態系は完全に保全する以外にない。

ヤンバルテナガコガネ

 体長六センチの巨大なコガネムシでやんばるの固有種。湿って暗い原生林の中にある直径六十センチメートルから一メートルもの樹齢五十年以上のイタジイなどの樹洞内だけに産卵し、幼虫は樹洞内にたまった腐植物を食う。この種は卵から成虫まで三年以上かかり、雌は一生に十個ぐらいしか産卵しない。堆肥を使った、樹洞以外での生育実験は失敗している。       ◇    ◇   ◇

 その他、日本最大のネズミであるケナガネズミも生息はイタジイ自然林に限られ、古木の空洞の中にすむ。

 希少種ややんばる固有種の保護は、残された生息場所としての原生林を守る以外にどんな方法もない。

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