2003年02月07日発行774号

【<駐韓米軍犯罪根絶運動本部・高維京さんと語るつどい> 全土に広がる米軍への抗議】

 昨年六月十三日、韓国・京畿道(キョンギド)で起きた米軍装甲車による二人の女子中学生ひき殺し事件の加害兵に対し在韓米軍軍事法廷は十一月、無罪の評決を下した。韓国では、無罪評決の撤回や米軍地位協定(SOFA)改正を求める抗議の声が全土に広がっている。駐韓米軍犯罪根絶運動本部幹事の高維京(コ・ユギョン)さんが来日したのを機に一月二十三日、高さんと語るつどい(主催・平和と生活をむすぶ会)が都内で開かれた。


ビデオを上映しながら説明する高さん(1月23日)
写真:テレビモニターの前で語る高さん

 駐韓米軍の犯罪について高さんは「五十六年という長い歳月の間、多くの犯罪が米軍によって行われた。加害者が米軍という理由で、まともな処罰と賠償が成立せず、被害者たちは二重三重の苦痛を受けている。これはSOFAに起因する本質的に不平等な韓米関係による」と指摘する。

 犯罪発生件数は、二百万ウォン(日本円で約二十万円)以下の対物交通被害を除き、二〇〇一年だけで五百五十二件。韓国政府が米軍犯罪に対して裁判権を行使する割合も、現在、七%と極めて低い。

 運動本部は九三年十月、持続的に米軍犯罪被害者たちを支援し不平等なSOFA改正運動を行うため、多くの市民・団体により結成された。前年の米兵による韓国人女性殺害事件がきっかけだった。

 昨年六月の女子中学生死亡事件後、運動本部をはじめ各市民団体はいち早く「米軍装甲車女子中学生故シン・ヒョンス、シム・ミソン殺人事件汎国民対策委員会」を結成し、国民大会を開いて米軍側に裁判権放棄を要求。遺族も米軍責任者らを告訴した。

中高生もろうそくデモ

 十二月十四日、無罪評決への怒りも加わり、ソウル市庁舎前をはじめ全国六十か所で十万人が抗議行動を展開。年末三十一日にも、数万人が抗議の声を上げた。

 高さんは持参のビデオで闘いの様子を紹介。電車の中でも取り組まれる謝罪とSOFA改正を求める署名活動、基地前で泣きながら抗議の声を上げる被害者の同級生たち、「殺人行為は明らか。韓国で裁判できないのは残念」と基地前で訴える高校生など−多様な闘いは圧巻だ。

 「ろうそくデモは今も毎日行われ、大規模なものは月に一度ある。一月は二十五日です」。闘いは休みなく続けられている。

 こうした闘いの背景として高さんは「事件の全体についてインターネットで継続的に知らせてきた。デモも呼びかけられる。特に、中高生がインターネットで知ったことは大きい。二百もの市民団体が連帯して対策委員会を結成した。対策委はソウルだけでなく全国にある」と話した。

 「一般の人々が自分のことでないのにデモに参加するのは、五十年以上にわたる米軍犯罪への積もり積もったものがあるから。特に、二〇〇〇年の6・15南北共同声明の意味は大きい。米軍から自由な立場で、韓国には統一の希望があるという韓国民の意思を伝えることができたから」

対等を求める新大統領

 闘いは、十二月十九日の大統領選でもその力強さを示す。候補者すべてが公式謝罪と処罰を公約に掲げた。そして、高さんが「改革的だと思う」盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補が当選した。

 「盧さんは、米軍が韓国に不当な要求した時、抗議できる大統領。韓米関係を対等なものにしようとしている。被害者の人権や韓国・アジアの平和のためには米軍の撤収が一番いいが、現実的には難しい。被害者の人権を守り、SOFAを改正してほしい。そのためにできることをしたい」。高さんは在韓米軍に対する闘いに期待を込めた。

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