2003年06月06日発行791号

【慰安婦・強制連行問題 ILO勧告求め集会 国際人権法学び草の根の運動を】

 ILO(国際労働機関)総会が六月三日から開催されるのを前に、「慰安婦・強制連行問題の全面解決を!ILO勧告を求める緊急集会」(主催・日本製鉄元徴用工裁判を支援する会)が五月二十一日、大阪で開かれた。


 今年三月にILOの条約勧告適用専門家委員会が年次報告書を発表した。その中で、ILO29号条約(強制労働禁止条約)に関して日本の「慰安婦」・強制労働問題を取り上げ、日本政府に意見を出している。

戸塚悦郎さんが講演(5月12日・大阪)
写真:資料を手ににこやかに講演する戸塚さんの写真

 「慰安婦」問題では、「アジア女性基金は、政府の個人への補償を行うという法的責任を果たすものではない」「被害者の大多数の期待に沿っていない」と述べ、「当委員会は将来的に日本政府が被害者の期待に応えることを希望すると繰り返し言明する」としている。

 強制労働問題では、「被害者の老齢と時の経過の早さを考慮して、政府が満足すべきやり方でこれらの被害者の請求に応えることができることを希望」することが確認されている。

今年が正念場

 緊急集会で基調報告した強制連行裁判全国ネット事務局次長の矢野秀喜さんは、この専門家委員会報告の画期的な意義を指摘した。「慰安婦問題では一九九六年から、強制労働問題では九九年から、毎年年次報告で取り上げられているが、今年の報告は異例とも言える分量と内容だ。二〇〇〇年の女性国際戦犯法廷の判決を高く評価しているのも特徴だ。日本の問題を専門家委員会だけにゆだねずに、ILO総会の場で扱う意向を表現していると読み取れる」として、今年のILO総会こそ正念場であることを訴えた。

 さらに、「三月にはカナダで、四月には東京と韓国でシンポジウムを開催した。日本政府とともに政府の代弁者として一貫して抵抗している連合の策動を封じるために、海外の人権団体や労働組合との連携を強めてきた」と報告。全国ネットも代表団をジュネーブに派遣して、総会での勧告実現をめざすことを明らかにした。

 続いて、龍谷大学教授の戸塚悦朗さんが講演。九二年の国連人権委員会で初めて「慰安婦は性奴隷だ」と主張したのが戸塚さんだった。「そのときの日本人記者の反応に驚いた。『あんた、それでも法律家か』『終わったことだ』と猛反発でした」

 戸塚さんは十年をこえるILOでの運動の成果にたって、「今日では29号条約違反ははっきりしている。『戦時性的強制被害者問題解決促進法案』で解決できるんです。問題は、国民がこの法案があることすら知らないことです。法案を知らせる運動をローカルですすめること、国際人権法を学び活用する運動を草の根で行うことです」と今後の運動の課題を指摘した。

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