2003年06月13日発行792号

【「ああ、戻れたんだ」 勝利和解の東洋印刷争議 解雇された佐々木さんが職場復帰】

 四年に及ぶ解雇争議を闘い、三月二十八日に勝利和解をかちとった東洋印刷争議団(全国一般東洋印刷分会、辻俊介分会長)。五月六日、分会員の佐々木宗夫さんが職場復帰を果たした。

写真:職場復帰の門をくぐる

 東京・板橋区内にある東洋印刷の門前で、「緊張しています」と語る佐々木さん。出社する社員一人ひとりに「おはようございます」と声をかける。手渡すビラには、「会社との間で和解が成立し、職場復帰することになり、再度みなさんと働くことができ大変嬉しいです」。

 和解内容は、佐々木さんの職場復帰、被解雇者の未払い賃金の支払い、辻俊介さん・辻真由美さん・山口とみ子さん三人の三月末付け円満退職、など。「組合員一同、満足感いっぱい」というものだ。

 門前には、勝利和解を共に喜び佐々木さんを元気に送りだそうと辻分会長はじめ組合員や支援者らが駆けつけた。

精いっぱい頑張る

 一人ひとりが励ましの言葉を寄せる。「板橋の仲間は東洋の解決を喜んでいます。四年間のブランクをのりこえ、頑張って下さい」(板橋区労連・徳山通さん)「一人復帰する佐々木さんがみんなの希望を一身に背負っていくのは大変かもしれないが、気負わず志高く、元気に働き続ける顔を見せてほしい」(東洋印刷の不当解雇を撤回させる会・田中克治事務局長)など、期待を込めた。辻真由美さんが花束を贈ると、佐々木さんは「緊張でいっぱいですが、精いっぱい頑張ります」と、笑顔とともに社屋に向かった。

  *   *   *

 久々に会社での一日を終えた佐々木さん。「部屋に入ると最初に工場長から『タイムカードの打刻はしたかな。君の席はここだから』と声をかけられた。机には必要な文房具が備えられていた」。肩書きは生産管理部工場長付きと決められた。初日は、社長による辞令交付、就業規則についての研修で過ぎ、夕方、社員一人ひとりとあいさつを交わして終わった。

 昼、食堂でパンを食べていると、ある社員が「佐々木さんは弁当を食べないのですか」と声をかけてきた。「しまった、一緒に食べないといけないなぁ」−そんな思いが込み上げたという。「夢のように解雇され、夢のように戻った。自分の机があり、会社の中を四年ぶりに回り、ああ、戻れたんだと実感した」

闘えば勝てる

 仕事は二日目の午後から。「前の仕事とは全く違う。外回りの仕事もある。覚えなければならないことがいっぱいで大変だが、ていねいに教えてもらい、ありがたい。気構えを見せていきたい」。佐々木さんは、「うれしい、はっきり言ってうれしい」気持ちを支えに頑張り抜く。

 そんな佐々木さんに、副分会長の岩井正秀さんがエールを贈る。「苦しい時もあるだろう。そんな時、すぐに皆を集めるから、顔を見せに来い」

 東洋印刷分会は六月二十一日、「首切り自由は許さない! 小さな組合の大きな勝利、この勝利をもっと高く」とのスローガンで勝利報告集会を開く。辻分会長は「仮処分敗訴から地裁の本訴逆転勝利までの徹底分析を行い、支援者や争議団が『闘えば勝てる』と確信する報告集会をめざしています。私の人生にとっても、組合結成、結婚・出産、解雇、裁判所包囲のヒューマン・チェーン、本訴勝利、勝利和解、そして報告集会と七大イベントの一つとなります」と、多くの参加を呼びかけている。

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