2003年06月13日発行792号

【イラク占領軍へ1000人の自衛隊 復興利権参入に新法】

イラクは戦争状態

 五月二十四日、ブッシュ大統領との首脳会談で小泉首相は、イラク「復興」支援のため航空自衛隊のC130輸送機のヨルダン派遣を約束。新法によるイラク国内への自衛隊派遣も事実上の公約とした。

 政府は今国会での新法成立を狙っている。そして、その提案もしないうちから、六月上旬の現地調査団派遣を決めた。調査団には自衛官も入る。なし崩し的な自衛隊占領地派兵が始まろうとしている。

 報道によれば、新法は「イラク復興・安定化支援法案(仮称)」と銘打ち、自衛隊の業務を「人道」「復興」「安定化支援」と定める方針だという(6/1・読売)。

 イラク国内では米軍への機関銃やロケット砲攻撃などが続き戦闘状態にある。また、反米デモへの米軍の無差別発砲も繰り返され、多数のイラク民衆が殺され続けている。日本政府自身も「米英軍による占領地行政が行われているため、戦争状態は継続している」(石破防衛庁長官)と認めている。

 政府が新法に明記するという「安定化支援」とはつまるところ武力による治安維持だ。テロ対策特措法によって、日本政府は、イラク攻撃に向かう米・英艦船に燃料を補給する形で参戦した。こんどは占領地に千人もの大規模な自衛隊陸上部隊を送ることで、現在の米軍同様に国際法違反の占領軍として直接イラク民衆に銃口を向けようとしているのだ。

侵略軍の本性むき出し

 イラク復興ビジネスに食い込もうと、日本企業もうごめきだしている。

 住友商事は、中東最大の建設会社、アラブ・コントラクターズ(エジプト)との提携を決め、イラク「復興」事業への参入を狙っている。丸紅・伊藤忠商事もイラク市場開拓への対策チームを発足させている(5/24・日経)。

 これと前後して、政府は「イラク人道・復興支援策」として四千六百万ドル(五十五億円)の拠出を決めた。また、小泉首相は五月二十五日、エジプトのムバラク大統領との会談で、イラクの医療体制再建のための共同プロジェクトの実施を約束した。そしてイラクでの自由な企業活動を保障するために、同三十日、対イラク経済制裁解除を決定。政府をバックにした復興利権あさりが始まった。

 このような企業活動を武力で庇護する狙いで、新法まで作り自衛隊を派兵する。

 有事法制で先制攻撃を合法化し、新法で占領軍参加に公然と踏み出す。自衛隊は今、グローバル資本主義の侵略軍としての姿をむき出しにしようとしているのだ。

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