2003年06月20日発行793号

【メディアが伝えぬ戦争の実相 ピース・ウォーカーが講演会 横浜 イラク写真展開きたい】

 「アメリカのイラク占領は終わっていない」。マスメディアが伝えないイラク戦争の実相・戦争犯罪を掘り起こし、占領軍即時撤退を求める取り組みが、各地で開始されている。イラク反戦行動に参加した神奈川県内の若者でつくる「PEACE☆WALKER」(ピース・ウォーカー)は六月七日、横浜市内で講演会を開いた。

 講演会のタイトルは「戦争とプロパガンダ」。企画したのは「報道の受け手である私たち市民はゆがめられた報道によって、戦争の実相を正しく認識できないばかりか、戦争の悲惨さを想像する感性が麻痺させられているのではないか」と考えたからだ。イラク反戦行動の中で感じたマスメディアへの率直な疑問を曖昧にせず、報道の現状と仕組みを見る目を養おうと取り組んだ。

若者が集う

 ピース・ウォーカーには藤沢市周辺の十九歳から二十五歳までの若者十数名が集う。三月八日のイラク反戦行動―ワールド・ピース・ナウに参加した若者が、地域で何か一緒にできることは、と連絡を取り合うようになった。四月に森住卓写真展を開き、五月にはアフガニスタン国際戦犯民衆法廷神奈川公聴会のスタッフとして活躍した。

講演する武田 徹さん(6月7日・横浜)
写真:顔写真

 この日の講演会には約三十人が集まった。講師はマスメディアの湾岸戦争報道などを批判した『戦争報道』の著者、武田徹さん。武田さんは「イラク戦争報道の特徴は五百人を超える従軍記者の戦場からのライブ生中継にあった。メディアは絵になる映像を撮りたがり、視聴者は刺激的な初めてのものを見たいという欲求にかられることで成り立つ構造。しかし、速報性と多元取材は事実の裏を取らず、事態の部分しか見せない弱点がある」と危険性を指摘。「これに対抗して、バグダッド市内に多くのフリージャーナリストがとどまったことは、湾岸戦争時との違いだ。結局マスメディアの報道では戦場は見えたが戦争は見えなかった。今後現地に滞在したフリージャーナリストが未公開フィルム・写真等を構成し本当の姿を伝えてくれることを期待する」と話した。

映像を批判的に見る

 司会を担当した江藤さん(25)は僧侶。地元で開かれたイラク写真展を見に行った際、三月八日の反戦行動を知り初めて参加した。「人の命に関わること。何かしなければいけないと思っていましたから」。バグダッド占領でイラク戦争が終わったかのような見方がなされていることを強く批判する。「イラク民衆の苦しみは続いているのに、実態をマスコミは報道しない」。講演会後、「映像を批判的に見ていく必要性を勉強しました。今、イラク戦争の実態を伝える写真展を開いてみたい。イラクにとどまらず、パレスチナや被爆者の問題も取り上げたい」と語る。

 同じく、棟方さん(22)は「テレビなどは速報性を求めるからこそ、報道を鵜呑みにせず、検証が必要だと思った。戦争が見えてくるような、新しい資料を使ったイラク写真展や映画化などわかりやすく広く伝えることが大切だ」と、感想を述べた。

 また、六月二十一日に渋谷でピースウォークを企画しているシーポップの高瀬さん(20)は「「それぞれの平和をかなえるために」をスローガンに活動している。イラク占領をやめさせ、復興の名で儲けを狙う企業に抗議し、有事法の具体化を許さない行動にしたい。共に行動を」と連帯アピール。

 若者の正義感・行動力を見せる取り組みとなった。

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