2003年09月26日発行806号

【自衛隊の街でキャンペーン 人殺しのためイラクへ送るな 若者に共感広がる】

 「自衛隊をイラクへ送るな」と自衛隊施設がある街で訴えるキャンペーン行動が首都圏で展開され、多くの市民の共感を集めている。東京・練馬、千葉・八千代市に引き続き、九月十五日には東京・小平市で取り組まれた。

 小平市には陸上自衛隊小平駐屯地がある。海外に派遣される隊員の教育施設などを抱えている。「この町からも戦争へ派遣されようとしています」とマイクでの訴えが始まった。

 悲しみにくれる黒衣のイラク人の母親をイメージした扮装に多くの人が足を止める。チラシを受け取ると進んでペンを握って署名する人も多い。通りがかった外国人女性も「いっしょにがんばりましょう」とエールを交わす。

積極的に署名する若い人たち(9月15日・東京小平市)
写真:路上に用意した机で署名する若者

少しでも力になれば

とりわけ、若い人たちが積極的に署名に応じる姿が目を引いた。四人の学生グループは口々に「自衛隊を送るなんて絶対間違っている。結局人を殺しにいくようなもんでしょ」「あれほど騒いだ大量破壊兵器も見つかっていないじゃないですか」「アメリカも日本も、やってることがおかしいね」と批判の声を上げた。女子大生は「結局戦争ですよね。戦争はいろんな人が犠牲になるばかりで一つもいいことはない。何の解決にもならないと思いますよ」。

「難しいことはわかりませんが、今もたくさんの人が死に続けていますよね。これ以上の人が亡くならないように、少しでも力になれば」と照れながらも署名用紙に家族全員の名を書いた二人の女子中学生。チラシを見て引き返してきた二十代の女性も言う。「自分たちと違うからと殺すのでは何の解決にもならないと思います。お互いにわかり合えるような努力こそが必要なのに」

この日の行動をメールで知って、やはり自衛隊基地がある埼玉県狭山市から参加した稲月隆さんは思いを語る。「狭山市では何年か前、市内で自衛隊機が墜落事故を起こしました。最近、飛行回数が増えているようです。人口の密集した地域に基地があることがまずおかしい。その上、自衛隊員はさらに海外で人殺しをしようとしている。そんなことに私の税金を使わせるわけにはいかない」

地域の行動に勇気わく

 これまで地元で人権や核兵器廃絶などの運動に参加してきて、憲法が破壊されようとしている流れに危機感を感じる稲月さん。チラシを受け取る人の少なさへの苛立ちもあるが、若い人たちの反応にはとても勇気づけられるという。

 「大きな集会も大事ですが、このように小さくても地域の問題として訴える行動には勇気がわきます。自衛隊員も、その家族も、今大きな不安を感じているはずです。地域に基地があることにも反発する感情があります。ぜひ、今度は狭山でもみなさんと一緒にやりたい」

 この行動を呼びかけるピースアクションの小栗英俊さんは自衛隊員のシルエットを掲げて「殺すために入ったのではないはずです」と声を上げ続けた。練馬、八千代、小平と三か所で取り組んだ行動ではメールなどで知って駆けつける人が毎回いた。

小栗さんは「今、自衛隊員・家族に訴えかけるビラはとても受け取りがいい」と手ごたえを語る。「今後、アメリカでも軍人家族が立ち上がっていることを伝えていけば、多くの人が声を上げる勇気を持てると思う」と確信を深めている。

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