第4回世界社会フォーラム(WSF)が1月16〜21日、インド最大の都市ムンバイ(旧ボンベイ)で開催された。開催国インドをはじめ152か国から13万5千人(うちインド国内から9万人)が参加し、昨年の倍近い規模となった。イラク占領ストップは、世界の反グローバリズム運動の集う同フォーラムを貫くテーマとなり、3・20国際反戦行動が世界に呼びかけられた。(6面に関連記事)
152か国13万人参加
会場のネスコグラウンドのメイン通りは連日、人、人、人の波で埋め尽くされた。イラク占領反対や、環境破壊・食糧の安全・人種差別・カースト制度など幅広い課題でデモや多彩なパフォーマンスが朝から夜まで繰り広げられた。「ブッシュこそテロリスト」「米英の帝国主義と闘おう」「利潤より人」「イラク占領を終わらせよう」の横断幕やプラカードを高く掲げ、歌や踊り、太鼓で周囲の人々にあふれるエネルギーを伝える。
13万5000人が参加した第4回世界社会フォーラム(1月16日インド・ムンバイ)
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ブッシュと対決を
3万人が結集した開会集会。インドの作家アルンダティ・ロイさんは「イラクは帝国主義、新自由主義の行きつく先。イラクのレジスタンスを支援するというのではなく、自分たち自身がレジスタンスを行わなくてはいけない」と呼びかける。
英国のジェレミー・コービン労働党議員は同国史上最大規模のイラク反戦運動を報告し、演説の大半をイラク侵略への批判に費やす。地元紙が「WSFはアメリカの贈り物へのメッセージを決めた」と報じるように、ブッシュの力によるグローバル戦略への全面的な批判と対決をアピールする場となった。
18日午後、4千人収容のホールで開催された「世界女性法廷」ではラムゼイ・クラーク元米司法長官が起訴状を読み上げた。アフガニスタン女性革命協会のサハル・サバさんは「民主化は進んでいない。タリバン政権下、女性や子どもの権利が奪われていた状況は何も変わっていない」と告発。アフガン国際戦犯民衆法廷の前田朗共同代表は法廷運動の取り組みを報告し、イラク民衆法廷を立ち上げたことを紹介した。
戦争は止められる
イラクからの撤退を呼びかける女性
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WSFは、世界中から国境を超え、人種を超えて反戦を訴える人々で埋まった。インド中部から来た4人家族。父親が「小泉を知っている。軍隊をイラクに派遣することはイラクの人々のためにならない。インドは派兵していない」と語る。カナダのケベックから来た20歳の学生は「去年の2・15で初めてデモに参加した。WSFで一番印象深いのは、反戦のグローバルな広がりだ。国際的な情報交換の場になっていてグレート。戦争ストップに希望が持てる」と興奮気味。アメリカの23歳の大学院生は「昨年10・25にサンフランシスコでデモに出た。このインドで少数民族も関係なく、多様な人々が一堂に会しているのがすごい。戦争だけでなく女性・人種・民族などの差別はダメだと世界中から集まっている。この力を大きくできれば、戦争は止められる」と語る。
メイン通りの一角、日本のATTAC Japanと韓国民主労総らが呼びかけた日韓連帯集会には何重もの人の輪ができた。ケニアから来た女性が「コリアの集会か」。「いや、日本と韓国のジョイント集会だ」「それは素晴らしい。ともに力を合わせて派兵に反対することは大切だ」
歌い踊り街頭に
米英のイラク占領への怒りと行動の訴えには日に日に共感が広がり、20日夜の総括会議ではムンバイ宣言案の論議とともに「当面、イラク侵略を止めるための行動に集中しよう」と合意。MDS(民主主義的社会主義運動)や全交など世界105団体が支持を表明した「軍隊はイラクから出て行け!もう戦争はいらない3・20国際反戦行動」をWSFの名で呼びかけた。
最高に盛り上がったのは、平和行進と閉会集会だ。ムンバイの中心街に繰り出し、「戦争はいらない」「パレスチナ万歳」「社会主義の世界は可能だ」などと書いたプラカードを掲げ、歌い踊り、太鼓や笛を鳴らし、歓喜の輪ができた。
6時間に及んだ閉会集会。世界的に有名なブラジルの反戦歌手ジルベルト・ジルが登壇すると参加者は総立ち。最後に歌った『イマジン』は全員の大合唱となった。「もう一つの世界は可能だ」「イラクから軍隊は出て行け」の合言葉が連呼され、発言や音楽に酔いしれた。