Q いま無防備地域運動が広がっているのはなぜ?
全国ネット結成へ
北海道・東京・大阪・広島など全国各地で、無防備地域宣言の条例制定をめざす市民運動が広がっています。3月7日には大阪で、全国ネットワークも結成されようとしています。
いま無防備地域宣言運動が広がっているのは、イラク占領軍への参加に示される政府の戦争政策を地域レベルから転換させていくためです。
小泉内閣は、「武力攻撃事態対処法」などを強引に成立させ、今通常国会では"保護"の名で国民の統制を狙う「国民保護法」を通そうとしています。
これらの有事法制の狙いは、自分の方から挑発しておいて「武力攻撃が予測される事態」との口実で自衛隊の行動にフリーハンドを与え、先制攻撃ができる仕組みをつくることにあります。このままでは、政府の戦争政策に自治体や住民がいや応なく従わされることになります。
そうした戦争政策に対する地域からの対案として、無防備地域宣言運動が注目されているのです。
では、無防備地域とはどういうものなのでしょうか。
国際人道法に依拠
無防備地域宣言の根拠となっているのは、住民の保護を目的とするジュネーブ条約の第1追加議定書(1977年採択)です。
その59条で、「紛争当事国の適当な当局は、軍隊が接触している地帯の付近またはその中にある居住地で、敵対する紛争当事国による占領のために開放されているものを無防備地域と宣言できる」と規定され、「紛争当事国が無防備地域を攻撃することは、手段のいかんを問わず禁止する」とされています。
第1追加議定書は、国連加盟国の84%にあたる161か国が批准している国際条約であり、日本の近隣諸国(中国・韓国・朝鮮・ロシア)はいずれも批准しています。この国際条約に依拠して、無防備地域を宣言しようというのが、無防備地域宣言運動です。
無防備地域となるには、次の4つの要件を満たさなくてはなりません。
(1)すべての戦闘員ならびに移動兵器および移動軍用施設が撤去されていること(2)固定した軍用の施設または造営物が敵対的な目的に使用されていないこと(3)当局または住民により敵対行為が行われていないこと(4)軍事行動を支援する活動が行われていないこと、がそれです。
無防備地域を宣言する主体は地方自治体でもよいとされている点が重要で、侵略戦争の火種を地域から一掃し、住民の生命と安全を自分たちで守る道筋を指し示しています。
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無防備地域宣言運動は、地域ぐるみで戦争協力を拒否し、人殺しに加担しないことを宣言する運動です。全国各地にこの運動を広げ、政府の戦争政策を阻止していきましょう。