ベクテルなどに全米で抗議
2月24日、ワシントン・ニューヨークをはじめ米国の20以上の都市で、ハリバートンやベクテルなど、イラク戦争・イラク占領によって巨額の利益を得ているグローバル資本に対する一斉抗議行動が展開された。取り組んだのは、UFPJ(平和と正義のための連合)など多くの反戦市民団体だ。
この行動は、米英の占領当局と癒着したグローバル資本の違法・不当な企業行動を暴露し非難するもの。占領はすでに9か月を超え、イラク民衆の生活は破壊されたままだ。学校は依然修復されず、電力供給も回復せず、飲料水も飲める状態になっていない。イラク人や地元企業は「復興」事業から排除され、失業者は70%にも上るという状況が続いている。その対極では、米政府と癒着したハリバートンやベクテルがボロ儲けを続けている。
CPA(暫定占領当局)はこの資源・資産略奪を手助けしている。03年9月にイラク国営企業の民営化を認める法制を強行する一方で、労働者の権利を剥奪してきたフセイン政権時代の悪法は残している。”グローバル資本のため”をむき出しにしてはばからない占領統治だ。
米国民からかすめ取るKBR
しかし、占領当局と一体の企業のやりたい放題がいつまでも許されるわけではない。
ハリバートンが米国防総省に業務請負代金や物資販売代金を水増し請求していた事実が、米マスコミで暴露された。
中東駐留の米軍兵士への給食業務を請け負っていたハリバートンの子会社のKBR社は、03年の1月から7月までの代金請求で1600万ドルを水増ししていた。03年の7月分だけでみても、実際は1日当たり1万4千食の提供しかしていないのに、4万2千食と3倍の請求を行っていた。
さらにクウェートの石油を供給する契約でも、1ガロン(3・8リットル)当たり1ドルを水増しし6100万ドルの不当利益を得ていたことも発覚した。ハリバートンは「状況がはっきりするまで1億4千万ドル(約148億円)の請求を保留する」と発表せざるを得なかった。
一連の報道の中でも、米国民の「血税」が不当に支出され、一部が不当利得を得ていると指摘されている。国防総省は、入札も何もなく最初から任意でハリバートンやKBRと契約(随意契約)した。ハリバートンが、チェイニー副大統領が政権入りする直前まで最高経営責任者であった会社だからだ。チェイニーは今も毎年1億円以上の退職金分割払いを同社から受け取っている。
特別扱いは、これだけではない。02年会計年度の国防総省受注ランキングで37位(受注額5億ドル)にすぎなかった同社は、翌03年度では700%の受注拡大を得て7位(39億ドル)の位置をしめた。代金水増しや過剰支出が起こる癒着関係は以前からあった。
ハリバートンは、イラク戦争が開始される半年前から、クウェートで米軍の攻撃基地となるキャンプサイトの建設を請け負っていた。最初からイラク戦争の準備に深くかかわっていたのであり、戦争時には補給業務が、そして戦後には「復興」事業が約束されていた。戦争と徹底したイラク社会の破壊こそがハリバートンの利益を約束していた。
略奪参加狙う日本企業
問題はハリバートンだけではない。イラク戦争と占領統治そのものが、軍需独占体・石油資本・大手ゼネコンらと共謀したブッシュ政権ぐるみの侵略・略奪行為である。この戦争屋たちが、イラクの資源や資産、米国民の税金、各国からの「復興支援基金」を徹底してかすめ取るというのが最初からの目的なのだ。「適正なルール」や「規律」などあるはずがない。
マイクロソフトも負けてはいない。ロバート・ディーズ防衛戦略部長は「われわれはイラク侵略計画に当初から係わってきた。アメリカ軍が破壊した後、わが社はイラクに電子政府を建設する予定だ」(浜田和幸『イラク戦争 日本の分け前』光文社)と公言している。
そして今、住友商事とNECが通信施設を受注するなど、日本のグローバル企業も、派兵された自衛隊を後ろ盾にこの略奪競争に参入しようとうごめき始めているのである。