2月27日に東京の「立川自衛隊監視テント村」の市民3人が、3月3日には社会保険庁職員が、ビラ配布を理由に相次いで不当逮捕された。同時に、事務所などが家宅捜索されパソコンが押収された。占領軍参加、戦争国家へとつきすすむ政府は、市民の表現の自由・思想信条の自由をターゲットにしている。憲法に違反し、反戦運動つぶしを狙う暴挙に抗議する。
立川の場合、1月17日に自衛隊官舎の敷地内にある郵便受けにイラク派兵反対を訴えるビラを配布したことが、刑法130条(住居不法侵入罪)に当たるとされた。ビラは「自衛官・ご家族の皆さんへ
イラク派兵反対!いっしょに声をあげよう!」というもの。
郵便受けはドアや門とは異なり私的空間と外部をつなぐ「通路」としての性質をもつ。その郵便受けに投函することが不法侵入になるのなら、郵便物・新聞・チラシ投函のためのあらゆる立ち入りが不法侵入となる。
過去にない暴挙
社会保険庁職員の場合、昨年10月公示の衆院選時の休日に「しんぶん赤旗」号外を集合住宅の郵便受けに配布したことが、国家公務員法102条(政治的行為の制限)違反に当たるとして逮捕された。102条自体、表現の自由・思想信条の自由を不当に制限する憲法違反だ。加えて、人事院でさえ「その行為の態様、社会通念に応じて具体的に判断して規則を適用すべきである」(1950年)とし、過去に休日のビラ配布を違法扱いとした例はなかった。
両事件のビラ配布は、それぞれ40日前、4か月前のできごとで、現行犯や、被害届にもとづく捜査ではなく、令状による逮捕であった。今なぜ、あえて令状逮捕なのか。
2月12日、東京・杉並の反戦落書き事件で不当判決が出されている。これは、イラク攻撃のさ中の昨年4月に杉並区立公園内のトイレの外壁にスプレー塗料で「戦争反対」などと書きつけた若者に「懲役1年2月、執行猶予3年」の判決を下したもの。落書きに対する有罪判決は戦時中にもなかったことだ。令状を許可する裁判所が過去に例を見ない不当判決を出しているのである。
抗議と釈放要求をM
これらの事件に共通するのは、反戦の意思表示に対する弾圧である。2月から3月のこの時期は自衛隊が戦後初めて戦場に派兵されるという歴史の転換期となった。イラク派兵で、日本の軍隊が他国の民衆をいつ殺してもおかしくない状況が続いている。戦場に侵略軍を送っている今日の日本はまさに「戦時体制」の下にある。
国際法・憲法にもイラク特措法にすらも違反し、世論の支持も得られない派兵強行。しかもイラク戦争の口実が崩れ派兵各国が撤退・縮小を検討している中での派兵だ。逮捕は派兵・占領に反対するあらゆる人々への見せしめを狙いとしている。政府・権力は、報道の統制と反対運動の封じ込め以外、一切の大義なきイラク派兵・占領参加を続けるすべがないのだ。
抗議と即時釈放・不起訴の要求とともに、占領撤退の運動を強化することで政府・権力を孤立させよう。