劣化ウランに関する医学的な検討をすればするほど、健康障害に最も敏感であるべき医療関係者が、劣化ウラン弾により注目すべきではないかという思いが強まってきました。
日本小児科学会会場でパネル展示
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そこで、劣化ウラン禁止条約実現キャンペーン結成準備に合わせて、2月15日に知り合いの医療関係者にも呼びかけて、シンポジウムを開催しました。アフガニスタン国際戦犯民衆法廷公聴会で劣化ウランの証言をされた松井英介氏にメインの報告をお願いし、医問研から柳元和氏、山本英彦氏と私が報告しました。
この集会に参加し刺激を受けた京都在住の医学生たちは、彼らが開催している勉強会で、湾岸戦争症候群に関する論文の批判的検討を開始しました。同じく京都の助産師さん、大阪の薬剤師さんも友人に情報を広めているそうです。また、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)京都支部からも3人が参加してくれました。日本のIPPNWは全国的には劣化ウラン弾反対になっていないが、少なくとも京都・大阪両支部が劣化ウラン弾に反対していることなどを教えてくれました。
この集会の司会をした大阪小児科学会運営委員の高松勇氏を中心に、イラクの子どもたちの現状を小児科学会員に認識してもらう活動を開始しました。まず、大阪小児科学会に入江紀夫氏と山本英彦氏が劣化ウランによる健康破壊の報告をしました。入江氏は、ガンと、本紙に掲載された足が一本の赤ちゃんなど形成異常を多数提示し、この問題に対する取り組みの重要性を強調しました。山本氏は劣化ウランに関する疫学調査から動物実験まで、医学的研究の成果を簡潔にまとめて報告しました。討議の中で、学会内に劣化ウランの障害性を研究する委員会設置が検討されることになりました。
会場で展示
4月8日から3日間、日本小児科学会が岡山で開催されました。直前の要請にもかかわらす、会場で劣化ウランに関する展示ができました。これは、全国30名以上の会員の賛同で訴えたことと、この問題の重要性を主催者が理解してくれたためです。賛同者の一人は「今の日本は本当に変な方向に向かっている。何かしなければならないと思っていた。ぜひ賛同したい」と語っています。多くの方が熱心に展示を見られ、協力を約束してくれました。1000枚のビラと、300冊のリーフレットを配布しました。
10日には学会の隣の会場で、本紙豊田護記者や松井英介氏、山本英彦氏の講演と討論の夕べを開催しました。30名の参加で、3時間のたいへん集中した学術集会になり、展示と合わせて日本小児科学会に劣化ウランの委員会を作って欲しいという要望に賛同してくれる方も増えました。私たちは今まで、全国の小児科医のみなさんとともに小児科学会に対して科学的提案をし、乳児突然死やインフルエンザ脳症の予防で多くの子どもを救うことをしてきました。小児科学会をはじめ、医学界が劣化ウランの危険性を全国民に知らせる力になってくれることを期待しているところです。 (終わり)
(医療問題研究会 林 敬次)