市民の力で5万筆突破
全国の注目を集めていた「大阪市非核・無防備平和都市条例」を求める直接請求署名は5月23日、有権者の50分の1である法定数(4万1463)を大幅に超え、5万4千に達した。
「無防備地域宣言をめざす大阪市民の会」を中心に手づくりでスタートしたこの直接請求署名運動。大都市大阪での5万筆という目標は当初「無謀」とまで言われながら、市民の会の奮闘と全国ネットワークなど平和運動の支援で徐々に市民に浸透した。地元メディアも注目し、終盤には日々協力者が広がる。「今からでも参加できるのか」「署名はどこへ行けば」―事務局には電話が次々と入り、爆発的な伸びで目標を達成した。
5万筆は、市民の一人ひとりが行動し、汗を流し、対話し、世論をつくり出して積み上げたものだ。直接請求は「平和を愛する人の思いを揺り動かす運動」(請求代表者・平安名常徳さん)となり、戦争を拒否する草の根の平和意識を掘り起こしたのである。
全国の市民を勇気づける
無防備平和都市条例(=無防備地域宣言)を求めるこの直接請求署名の成功は、ひとり大阪市にとどまらない全国的な意義を持つ。
その第1は、イラク占領参加や有事法制など戦争国家づくりに、地域から反撃する対案としての意味だ。
署名運動最終盤の5月20日、戦争体制へさらに突き進む有事法制関連7法案が、自民・公明・民主3党の賛成で衆議院本会議を通過した。この国は、4月の日本人拘束事件であらわになったように民衆の命を守らないばかりか、自治体・地域に戦争への支持・協力を強要しようとしている。政府が戦争へと暴走する今だからこそ、国際法(ジュネーブ条約第1追加議定書)に基づく無防備地域宣言で地域に戦争非協力・平和の拠点を築くことは決定的に重要だ。
第2に、戦争体制進行に危機感をもつ全国の市民と平和運動を勇気づけたことだ。
国会は戦争推進勢力に”占拠”され、世界中で非難されるイラクでの拷問問題も、違憲・不法の自衛隊占領参加も有事法制も、まともな論議ひとつない。だがどっこい、一人ひとりの平和への思いをかたちにする手だてが実例をもって全国に発信された。市民と支援の力があれば、有権者数207万人(横浜市に次ぐ全国2番目)の大阪市でも直接請求は実現できる。平和を創りだし民主主義を取り戻す取り組みは日本中どこでも可能であることが示されたのだ。
大阪市の署名運動のただ中で、東京・荒川区で「無防備地域宣言を求める会・準備会」が、大阪・枚方市で「非核平和・戦争非協力(無防備)都市条例を実現する会」が生まれた。運動はさらに各地に広がるに違いない。
市議会包囲し条例制定へ
直接請求署名の成功で、条例制定―無防備地域宣言への第1関門は突破した。寄せられた5万4千筆の、平和を願い戦争に反対する熱い思いを葬らせてはならない。
市民の会は、大阪市長と市議会を突き動かすために、全国からファクス・メール・意見書を集中することを呼びかけている。呼びかけに応えよう。大阪市に続き、すべての地域で無防備地域宣言運動を開始しよう。(5月24日)