戦後補償問題が韓国で大きな転換点を迎えている。「日帝強占下強制連行真相糾明法」に基づいて発足した糾明委員会は、2月1日から全国で被害申告の受け付けを開始。また、1月17日には日韓条約締結交渉の議事録の一部が公開され、日本政府による補償要求切り捨ての実態が明らかになり始めた。
こうした流れを受けて2月11日都内で、日本製鉄元徴用工裁判を支援する会などが主催する集会「日韓会談議事録公開 問い直される日本の戦後処理」が開かれた。
支援する会の山本直好さんは「韓国『中央日報』紙の世論調査で『植民地支配の被害者に追加補償をすべき』が89%に達するなど、戦後処理を求める声が高まっている。日本側の資料公開を実現して韓国の取り組みに応える運動を」と訴えた。
講演する太田修さん(2月11日・東京)
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続いて佛教大学助教授の太田修さんが今回の資料公開の意義について講演した。太田さんは「韓国は日韓交渉関連資料を公開しようとして日本側からの要請で断念したことがある。その点からも、今回、植民地支配の犠牲者らの運動によって公開されたことは大きな意義がある」と強調。
ようやく明るい光が
日韓条約では、日本側からの供与金の性格が大きな論議となった。賠償としての意義づけを求めた韓国側に対して日本側は「経済協力」として植民地支配の清算を拒否し続けた。太田さんは、公開された文書の中で、特に条約締結後の個人請求権をめぐるやりとりに注目する。文書によると、日本側は「この問題は追及すればするほど難しい問題…特に個人の請求権がなくなるということだから重大」と答えている。太田さんは「日本側が請求権の封殺に腐心している様子が見える。また、適用除外としての在日韓国人の請求権についても、その対象を狭めようと画策していた」などと指摘。「個人補償を排除し続けた日本の姿勢が明らかになった。日本政府が口にしている『おわび』は、真相の糾明と補償が伴って初めて実体のあるものとなる」と補償実現の運動の重要性を強調した。
続いて太平洋戦争被害者補償推進協議会共同代表イ・ヒジャさんがあいさつ。「公開された資料を見て、日本政府が被害者に補償をする意志を持っていたら問題がここまで持ち越されることはなかったのにと思った。私は、靖国に合祀されている父親について調べることで、戦争被害を深く理解するようになった。資料の一層の公開は、同じ時代を生きて未来をつくる話し合いの基礎になる。ようやく暗いトンネルに明るい光が差し込み始めている。二度と過去の悲劇が繰り返されないように、力を合わせましょう」と韓日の連帯を呼びかけた。