神奈川県藤沢市で1月28日から取り組まれていた無防備地域宣言条例の制定を求める直接請求署名は、法定数6350の3倍を超え1万9千に達した。
法定数の3倍
若者も足を止めて署名に協力
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最終日の2月27日夕方。戦争非協力・無防備条例をめざす藤沢の会によるカウントダウンのつどいが藤沢駅前で行われた。この日も市内各所で署名を集めた市民らが次々にやって来る。前日までの数「16287」が張り出され、署名が1筆ずつ増えるたびに拍手がわく。
受任者は網の目に
会代表の岡村孝子さんが「日本が戦争をする国になりつつある今、国際条約と憲法9条の精神を生かそうと、毎日市内各所で運動し法定数をはるかに超える署名を集めることができました。これからは条例を実現する運動が始まります」と条例化に向けた運動の強化を呼びかけ。
請求代表者の一人、福永雪子さんも行き交う市民に最後の訴えを行った。「つたない言葉ですが、一人一人に語ってきました。子どもたちに平和な世の中を渡すためにもぜひご協力を」。同じく横山照さんは「藤沢が本当に住みやすく平和な町になるように議会を見守りましょう」。
テンポのよい歌が流れると若者も足を止める。「戦争は準備すればやってくる」「これまでどこでも無かった」「だからこそ僕らが始めるのさ」。高校教員の堀内大介さんが作った無防備宣言の歌で広場は無防備一色に。「もう署名しました」と笑顔を向ける人。未成年の若者からは「絶対実現してください」と声がかかる。
人のつながりを通して、受任者は網の目のように増えた。その多くは署名運動が初めてという人たちだ。
「これから条例を実現する運動を」と語る岡村孝子代表
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新聞で無防備宣言を知ったのをきっかけに街頭署名に立ち続けた中村節子さん。10人以上の友人が受任者を引き受け、たくさんの人が10筆単位で集めてくれた。「150筆の人もいて、私の方が恥ずかしいくらい。街頭ではいろんなことも言われましたが、『がんばって』の声に励まされてやりとおすことができた」と笑顔で話す。中学2年の亜衣夢さんもお母さんを応援してきた。「いろんな意見を聞けて勉強になりました。私たちの未来ですから、若い人が協力していかないといけないと思います」
充実感を分かち合う
同じように新聞がきっかけで運動に飛び込んだ尾島せつ子さんは、充実感を口にする。「このままでは子どもたちが戦争に行かされる。何もできない子どもたちに代わって親が立ち上がらなければ。運動で今まで出会ったことのないような人たちと知り合えた。この出会いを力にしたい」
4人の子を持つ久野紀子さんは、市民に語りかけた。「アフガニスタンやイラクを見て何もできないという無力感にとらわれていた。でも、今は私たちにも何かできるという幸せな気持ち。皆さんもぜひ署名して私たちの仲間になってください」
カウントダウンの場で署名は1万7523まで到達。40人の参加者は晴れやかに成功を喜びあった。会では3月3日、集約した署名を市選管に提出し、議員訪問などを展開して条例成立をめざす。