2005年04月01日発行881号
ロゴ2

【No.8 ロンドン集会に20万人 若者の奮闘で広がる行動】

 「大統領さんよ、家に帰りな! プードル犬も連れて帰れよ!」 歌声が響いてくる。道行く人が寄って来て、「何をしてるんですか」と聞いてくる。反戦集会予定地のトラファルガー広場で、3・19に先立ち3日間連続で実施されたピース・キャンプ初日の風景だ。

 そこで小中高生ストップ戦争連合の学生たちと再会した。彼らの集会を報じる『週刊MDS』(875号)を見せると、「キャー、 私、日本で有名なのよ!有名なのよ!」と写真に写っていた女子生徒の一人はすごい喜びよう。「別にあなたが有名なわけじゃないわ」とか言い合って「これはエリー、これはケイト…」と教えてくれる。英国の若者の決起が、国境を超え日本の運動にも希望を与えていることを伝えた。

学内外で呼びかけ

 彼らの中に、18歳のトマス・ウィリス君がいた。西ロンドンのガナスベリ校の13年生(高校3年)で今年卒業予定。3・19デモのために学内外でビラまきや集会の組織化、座りこみをしてきたという彼とはデモ前後に何度も顔を合わせた。デモ当日の「日記」執筆を引き受けてもらえたので、以下紹介する。

ピース・キャンプのトマス君
写真:ピース・キャンプのトマス君

 「朝7時、トラファルガー広場のキャンプで起床。7時半、小中高生ストップ・ウォーの横断幕を取りに家に帰り、朝ご飯。10時にハイドパークに行き、スチュワード(デモ先導ボランティア)打合せに参加。12時半、小中高生の隊列到着。スチュワードは人々をデモ開始点に先導。13時半、まだ続々と人が集まる中、デモ先頭が出発。3時半、トラファルガー広場に到着。広場は人波で埋まる。5時、僕を含め8人の小中高生が登壇し、議長のアリス・エリカ・ゼリンが代表して発言する。5時半、近くのパブに落ち着いて、祝杯を上げる!」

 最も心に残ったことは?と聞くと「この間で最大のデモだったことです。運動は再び広がっています」。大変だったことは? 「何千という人をデモ開始点に正しく誘導すること」。日本の運動へのメッセージは? 「創造力を活かし、最大限の人々に働きかけ続けましょう」。英国では18歳から選挙投票できる。5月予定の総選挙はどうしますか?と聞いたら、「戦争反対の候補に投票します」と語ってくれた。

米大使館に抗議

 今回のロンドン反戦デモは、1968年以来初めて、つまりベトナム反戦以来初めて、巨万の民衆が米大使館を直撃するデモとなった。最近、一部の左翼人士が「民主選挙の成功」「風は変わった」と米のイラク政策を肯定し始める中で、そして総選挙が間近に迫る中で、実際どれだけの人が集まるかが注目されていた。結果は20万強。去年の3・20を倍する大結集だった。(日本人も大勢参加。出会った数は20人以上!)

トラファルガー広場に20万人集結(3月19日・ロンドン)
写真:トラファルガー広場に20万人集結(3月19日・ロンドン)

 単に数だけではない。統一戦線の内容的にも広がりを見せている。「米軍のグアンタナモベイ基地に33か月も収容されながら、皆さんの前で発言する勇気をもった人、マーティン・ムバンガです」という司会の紹介のもと、つい先日釈放されたばかりのムバンガ氏が米を公然と批判する発言をした(ラップも歌った)。

 市民権運動で名を知られた『リバティ』のシャミ・チャクラバティ書記長が集会壇上に上がると大きな拍手が起こった。軍人家族反戦の会は、新たにレイ・ヒューイット予備役兵が加わって米大使館への反戦請願を行い、集会では圧倒的歓声を浴びていた。戦争反対と市民権抑圧反対、今後の発展を予感させるようなデモ&集会だった。

英国の体制変換を

 38年前、ベトナム反戦の先頭に立ったタリク・アリは、今またイラク反戦の先頭に立っている。登壇した彼は「デモをするだけじゃ駄目だ、と2・15集会で私は言った。体制変換は英国でこそ必要だ。戦争に賛成した国会議員を国会から叩き出そう。反戦議員を支えよう。ジョージ・ギャロウェイをもう一度絶対に国会に送ろう」と訴えた。軍人家族のレジ・キースは「私たちが国を裏切ったら監獄行きだ。でも国が私たちを裏切ったらどうする? 私たちは票を武器に闘おう!」と呼びかけた。英国の次の主戦場は間違いなく総選挙だ。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS