2005年06月17日発行891号

【市民が一歩踏み出せる運動に 「君が代」処分の撤回をめざす集い・東京】

 卒業式の国歌斉唱時に着席し、歌わなかったから懲戒処分─6月4日、東京・府中市内で「君が代」処分の撤回をめざす集いが開かれた。


中島さん
写真:

 処分を受けたのは、府中第二小学校教員の中島暁さん。今年の卒業式では、前日の予行練習時から「立って歌う」よう職務命令を受け、当日は中島さん一人に文書で職務命令書が渡された。校長・教頭によって周到に準備された、府中市の小中学校ではただ一人の処分だ。

 集いには20人定員の会場に倍以上の人たちが詰めかけ、関心の高さを示した。呼びかけたのは首都圏なかまユニオンと、有事立法に反対する府中市民の会や子どもと教科書を考える府中の会、沖縄県民と連帯する府中の会など地元の市民団体。

 代表して有事立法に反対する府中市民の会の三宮克巳さんは「処分反対だけでなく、国の政策の伝達者として文句を言わない教員を作り、お上の言うことに逆らわず『日の丸』を掲げて突撃する生徒を作る、そんな動きに反対する運動だ。国のために死んでいく時代を招かないように、若い人が中心となってほしい」と訴えた。

中島さんは20年以上にわたる教員としての生き様を語った後、「暴走している都教委とのせめぎ合いの時だ。無防備地域宣言運動やイラク市民レジスタンス連帯運動などとともに市民運動で闘う。裁判も重要だが、教育委や校長との直接交渉で状況を変えていきたい」と決意を述べた。

処分撤回させたい

各団体や市民から発言が相次いだ。「府中で処分者が出た。これは大変だが、こんなに多くの人が来てくれ、これからの未来は明るい」「1月の教科書集会で中島さんと出会い、昨年府中の高校で処分者が出たことを初めて知った。今の学校は違いを認め合うことがなくなっている。中島さんのような先生が増えることが大切だ」「なかなか市民が入りにくい集会になってしまいがちではある。誘って一緒に参加することが私の課題。市民が一歩踏み出せる、そんな運動にしたい」。この課題を契機に、府中における教育運動を盛り上げようとの意気込みが示された。

 府中二小の同僚教員は「こんな処分は数年前まではなかったこと。本当に撤回させたい。ここからそんな状況を変えていきたい」と語った。

 都内で処分撤回を闘う多くの教員や東京教組役員、弁護士なども参加。大口昭彦弁護士は「何を隠そう私も府中市民。話を聞いて、寝るためだけに帰っていたことを反省している。この闘いは処分撤回とともに『日の丸・君が代』それ自体がいけないことを打ち出し、闘いを進めたい」。

 この日、「府中『君が代』処分を撤回させる会準備会(仮称)」が発足。今後、世話人会で構成、活動内容などを決めていく。当面、府中二小校長と府中市教育委員会への要請行動を行う。

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