2005年06月24日発行892号

【7月の全交大会に現地から参加 コトパンジャン・ダム訴訟】

 日本のODA(政府開発援助)を断罪するコトパンジャン・ダム訴訟の第16回口頭弁論が6月9日、東京地裁で開かれた。証人調べは9月から始まる。

 当初はこの日の弁論で争点整理を終え、次回7月7日から証人調べに入る予定だったが、争点の確定が次回に持ち越され、証人調べは9月開始となった。

 ダム建設にともなう住民被害については、弁護団が現地に出向き実態調査している。住民は移転を強いられたが、多くの移転先には生活のための水がなく、約束された農地も仕事もなかった。

 こうした事実は、被告JBIC(国際協力銀行)の内部調査資料(援助効果促進調査)でも明らかとなっている。原告弁護団は、新たな証拠として被告東電設計の作成した「環境管理計画書(PKL)」なども提出した。

 日本政府はダム資金の融資にあたり、インドネシア政府に3条件−・全世帯の移転同意・補償金の決定過程への住民参加・野生動物の保護−をつけた。したがって、「すべてはインドネシア側の責任」とする言い逃れは認められず、融資した側の責任が問われる。被告は3条件記載の文書があることを認めているが、開示は拒否している。

住民との結びつき強める

 原告側は現在、裁判所に文書提出命令を申し立てている。合わせて、被害者住民を支援する会は4月初め、外務省とJBICに対し情報公開法に基づきコトパンジャン・ダムに関する行政文書の開示を請求した。その回答が6月7日にあったが、「個人ないし法人が不利益を被るおそれがある」などを理由にほぼすべての文書を不開示とする全く不当なものだった。支援する会は異議申し立てを行う予定。

住民大会で訴える原告弁護団
写真:住民たちを前に報告

 一方、支援する会と弁護団は4月末から5月初めにかけて現地を訪れ、原告らの住民大会に参加し、聞き取り調査した。参加した支援する会の斉藤淳さんは「大会では住民と弁護団が直接、話をすることができ、結びつきを強めることができた。住民は質問項目を準備していた。調査の成果は、現地で厳しい生活をする人々の生の声を聞けたことだ」と話す。会では、7月末に横浜で行われる全交大会で、インドネシアの人権活動家イエニ・ロサ・ダマヤンティさんを招き、分科会「戦略ODAと闘うアジアのネットワークを」を開く。その後、全国キャンペーンを展開する。

 次回弁論は7月7日。証人調べの日程(年内)は9月16日、10月17日、11月17〜18日、12月22日の予定。

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