ロゴ:国際法を市民の手に 前田朗 2005年09月30日発行905号

『コリア戦犯法廷(6)』

 法廷判事は、被告人らに対して提示された証拠に基づいて有罪を認定した。起訴状で申し立てられた19の犯罪のそれぞれが犯されたことが合理的な疑いを超えて証明された。

 1.1950年6月25日から1953年7月27日、朝鮮戦争において、保守的な西側の研究者の推定でも、460万以上の朝鮮人が亡くなった。

 法廷に提出されたアメリカの戦争犯罪の証拠には、韓国における民間人大量虐殺の証言と記録も含まれる。朝鮮におけるジェノサイドの証拠も提出された。

 2.1950年以前の5年間は朝鮮戦争の時期とは見られていないが、米軍は1945年9月8日に朝鮮半島に上陸して以後、朝鮮において平和に対する罪と人道に対する罪を犯した。米軍は大多数の人民の意思に反して朝鮮を分断し、主権を制限し、韓国に警察国家をつくり、朝鮮半島に緊張をもたらし、朝鮮半島の平和的な統一を求める運動を抑圧し、組織的殺害、投獄、拷問など重大人権侵害を指揮し、支援した。愛国者、左翼、土地改革を求める農民、労組活動家、北の同調者などが殺されたり、拷問された。

 3.1953年7月から現在に至るまで、米国は、韓国に米軍を駐留させ、核兵器を保管し、国際法に違反して、統一を求める韓国人民の意思を妨害し続けた。引き続く軍事占領によって、韓国女性を性的に搾取し、頻繁に暴力事件を引き起こし、法を無視する米軍兵士による韓国女性の殺害が起きた。米国主導で朝鮮に対して行なわれた経済制裁は、かつては食料輸出国であった国の生活水準を引き下げ、広範に栄養不良を引き起こし、飢餓さえもたらしている。本法廷に参加する予定だった朝鮮代表に対するビザ発行拒否は、被害者が世界に向けて経験を証言するのを妨害する犯罪的意図を証明するものである。

 以上の55年間、米国政府は、組織的にマスメディアを操作し、統制し、誤導し、制限して、米軍による軍事介入、占領、朝鮮人民に対する犯罪を支持させた。米国政府は米軍内や一般人民に人種主義的姿勢を植え付け、朝鮮人民に対する残虐行為やジェノサイド政策を行なったり、それを容認したりするようにさせた。米国政府は米国憲法に違反し、権利章典、国連憲章、国際法、韓国法、朝鮮法、中国法、日本法にも違反して、朝鮮半島に対する意思の行使という無法な決定を行った。法廷判事は、米国政府とその指導者がこれらの犯罪行為に責任があり、有罪であるとして非難する。

 法廷判事は、それゆえ次の勧告を行う。全朝鮮に対する占領を即時に終結させ、全米軍を撤退させ、環境に与えた被害を是正し、朝鮮に対する公然・非公然の作戦を中止すること。人道に対する罪に当たるので、朝鮮に対する全ての通商禁止と経済制裁を撤廃すること。朝鮮人民に対する緊急食糧援助と医療援助を行うこと。55年に及ぶ経済戦争の被害者に対して米国政府が被害補償を行うこと。朝鮮人民が朝鮮統一を求めているのに対するすべての干渉を即座に終結させること。1945年9月7日以来、米国が朝鮮において行なったすべての犯罪に関する情報を完全公開すること。本法廷に提出するために収集したすべての報告書、証拠物を保存し、朝鮮における米国の戦争犯罪について真相を知らせるために広範に提供することを勧告する。権力の責任を明らかにし、平和が継続するための基礎である社会正義を確保するため、世界の人民が勧告に基づいて行動するよう呼びかける。

<参考文献>Final Judgment of the Korea International War Crimes Tribunal, 23 June 2001.

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