ロゴ:国際法を市民の手に 前田朗 2005年10月28日発行909号

『コリア戦犯法廷(8)』

 コリア戦犯法廷起訴状は、13の犯罪を告発している。

1)アメリカによる侵略と朝鮮分断―第2次大戦後、アメリカに好都合な状況が生まれ、アメリカは国際法に違反して朝鮮半島南部を軍事占領した。1945年8月15日に米軍が出した、38度線以南の日本軍の武装解除命令が出発点である。カイロ宣言やポツダム宣言によって、朝鮮には日本の植民地支配からの独立と民主的発展が保障されるべきだったのに、アメリカは朝鮮半島を占領し、朝鮮を分断することになった。敵対国でない国家に対する軍事占領は国際法違反であり、直接侵略である。

2)朝鮮戦争以前にアメリカが行った虐殺−仁川上陸の日から米軍は「解放者」ではなく「侵略者」であった。ハーグ条約は、占領軍当局に、占領地法の尊重、公共の秩序と安全の確保、家族の名誉の尊重を命じているのに、米軍は人民の組織を破壊し、愛国者を逮捕・殺害した。1946年10月の人民蜂起に対して、2万5000人を殺害した。48年5月7日の選挙に際しては一日だけで500人の愛国者を殺害した。48年春の済州島事件では7万以上の島民を殺害し、1万の家屋を焼き払った。48年10月の麗水事件では、航空機、戦車、軍艦、軍用車を動員して数千人を殺害した。49年12月から50年1月、ジリ、テベク、オデなどで4万人を殺害した。

3)朝鮮戦争の挑発−米軍は、南朝鮮占領当初から朝鮮における戦争を挑発した。挑発は1947年以来頻繁に繰り返された。49年には軍事境界線付近での軍事的挑発が行われた。そもそも占領以来、膨大な軍隊を日本、韓国および周辺海域に配備して、戦争準備を行っていた。開戦直前にはダレス大統領特使を韓国に派遣している。これらはハーグ条約、人類の平和と安全に対する罪の法典草案における侵略の定義にあたる。国連憲章2条4項にも違反する。

4)朝鮮戦争における国連旗の濫用−国連安保理事会は、事実関係の調査を求めたユーゴスラヴィア政府の提案を押切り、米国の情報だけに従って決議を採択した。しかも常任理事国のソ連は欠席していた。決議自体が国連憲章に違反している。米軍は違法な決議によって、国連の名前を利用して戦争を正当化し、国連の旗を濫用した。

5)町村の破壊−米軍は朝鮮各地で国際法違反の無差別爆撃を行った。3年間に、米空軍は80万回以上、海軍航空隊は25万回以上の爆撃を行った。その85%は民間施設を目標とした。56万4436の爆弾と3万2357のナパーム弾を投下した。投下された爆弾んは60万トン以上であり、これは第二次世界大戦で日本に投下された16万トンの3.7倍である。朝鮮の領土は日本の3分の1であるにもかかわらず。この野蛮な無差別爆撃によって膨大な民間人が殺害された。

6)民間人虐殺−米軍は、1949年ジュネーヴ条約に違反して民間人虐殺を行い、放火、破壊、強姦、略奪などを仁川から釜山の間、各地で行った。韓国側では、AP事件、麗水事件などで大量虐殺を行い、さらに慶山南道各地でも民間人を殺害し、家屋を焼き払った。現在、AP事件で処刑された被害者は30万から50万と見積もられている。難民は殺害され、若者は逮捕され、「共産主義者」であるとして処刑された。50年9月25日のソウル爆撃でも無数の民間人が殺害された。ブルース・カミングス教授は5万人以上の被害と見積もっている。ソウルを再占領した後には7万2390人もの民間人を殺害した。開戦から一年もたたずに、米軍は韓国側で100万以上の無辜の民間人を殺害した。朝鮮側では、米軍は徹底した無差別殺害を行い、人間の想像を絶する大虐殺が行われた。米軍が一時占領した間に、ピョンヤン1万5000、シンチョン3万5383、アナク1万9072、ウンリュル1万3000、ヘジュ6000、ピョクソン5998、ソンファ5545、ウンチョン5131、アンジュ5000、ピョンチョン3040、ケチョン1342、パクチョン1400、チョルウオン1500、ハムジュ648、タンチョン532、チョサン900の虐殺である。

7)化学兵器・生物兵器−1950年、米軍は朝鮮北部の一時的占領後に逃走する際に、生物兵器を使用し、後に天然痘が蔓延した。被害地はピョンヤン、南ピョンガン、カンウオン、南ハンギョン、ファンヘである。米軍は朝鮮人戦争捕虜をモルモットとして扱った。52年1月18日から3月31日、米軍は、生物兵器や細菌を700箇所に投下した。生物兵器には、ハエ、ノミ、クモ、ナンキンムシ、蚊その他の昆虫が使われ、ペスト、コレラ、天然痘、出血熱、壊疽、腸チフスなどが感染した。51年2月から53年7月、米軍は、カンウオン、ファンゴウ、南ピョンガンなど24箇所に化学兵器を投下した。51年5月6日、南ピョンガンのナムポ市では毒ガス兵器のため1372人死んだ。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS