2005年11月18日発行912号

【寄稿 無防備地域宣言・沖縄ネットワーク準備会 西岡信之 最南端の町から無防備地域宣言を】

 「きょうは大事な歴史を開く1ページになりました。これまでの条例制定をめざす準備会から飛躍をかけて『竹富町無防備平和条例をめざす会』という名称に変えます」―会代表の石原昌武さんが力強く宣言した。11月5日、午後8時から沖縄県・西表島(竹富町)で開催された「無防備こそ平和の力! 無防備地区宣言とは何か」と題した前田朗(東京造形大学教授)講演会の最後の場面だ。

街頭宣伝を担った石原昌武会代表(左)と嘉陽恵美子さん(右) (11月5日・竹富町)
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 沖縄県八重山郡は、日本最南端の国境の島しょ地域。ここに無防備地域宣言をめざし直接請求署名に取り組む運動がついに産声をあげた。

 事務局長の田中むつみさんは今後の取り組みについて提案。「来年3月下旬から4月下旬にかけて町長に直接請求する署名運動に取り組みます。署名を集める受任者や条例案づくりなどにご協力をお願いします」と呼びかける。講演会が終了するや早速、入り口の受付に協力を申し出る列ができた。

全世帯に呼びかける

 西表島の西部地域、土曜夜の講演会に40名も参加するのは画期的なことだという。会場設営で準備していた椅子がすぐに足りなくなり追加。主催者の予想を超える参加となった。会場付近の県道には「ヤマネコ出没注意」の看板がいくつも見える亜熱帯の森林地帯、西表島は人口2千人だ。この講演会に向けて、西表島全域の1200世帯に2度の全戸チラシ入れ。講演会当日、代表の石原さんと事務局の嘉陽恵美子さんは、島内の各部落に講演会の参加を呼びかける街頭宣伝と辻演説を行った。「会のメンバーはまったくの素人ばかり。でも講演会には、本当に人が集まってほしい」と嘉陽さん。

 講演に熱心に耳を傾けていた、沖縄戦を体験した老人が「初めてこういう話を聞きました。沖縄戦で西表はマラリアで多くの被害が出ましたが、西部の白浜には日本軍がいたため米軍の空襲を受け部落は全滅した。無防備運動は大事。竹富から沖縄に日本、世界に広げ、素晴らしい世の中にしてほしい」とマイクを握り締めて語ると、ひときわ大きな拍手が起こった。時計の針はすでに10時を回っていた。

田中むつみ事務局長が提案
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 今回の講演会は、無防備地域宣言・沖縄ネットワーク準備会が企画、無防備地域宣言運動全国ネットワークが協力し、石垣市と竹富町のそれぞれの運動団体が呼びかけに応えて開催にこぎつけた。

石垣市でも講演会

 竹富町の前段の11月3日、石垣市内でも「九条の会やえやま」主催の「憲法九条と無防備地域宣言」と題した前田朗さんの講演会が開催され、市民90人が集まった。「九条の会やえやま」事務局長の潮平正道さんは「憲法九条の碑を建立した1周年記念として取り組みができてよかった。憲法を守るために地域生活に根ざしていくのが無防備の運動。平和条例づくりという点がわかってすっきりした」と感想を語った。

 大浜石垣市長と大盛竹富町長への前田さんなどの表敬訪問も11月4日に行われた。

 石垣市と竹富町(西表)での無防備地域宣言運動は、今回の講演会を通じて着実に大きな1歩を踏み出した。

大阪・高槻市は1367筆提出
高槻市の無防備都市条例制定を求める署名は11月7日、高槻市選管に提出された。
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