すべての戦後補償団体がフォーラム(11月19日・東京)
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「過去を克服し共生のアジアを!日本の課題」と題するフォーラムが11月19日、都内で開かれた(主催は戦後60年・過去を克服し共生のアジアをめざす戦後補償共同行動実行委員会)。戦後60年も年末を迎え、すべての戦後補償支援団体・個人が一堂に会する集会となった。
強まるナショナリズム
冒頭、強制連行・企業責任追及裁判全国ネットワークの矢野秀喜さんが開催に至る経過を報告した。「運動の長期化、歴史修正主義の台頭などにより支持が細り、運動の『孤立化』が進んでいる。社会的支持を再結集し運動の展望を切り開いていくために、まず戦後補償運動の共同行動を作り出す。さらに教科書運動や靖国問題などに取り組む諸団体・グループにまで連携・共同の輪を広げていくことが確認された」。戦後補償共同行動への賛同は49団体・130個人に達した。
パネラーからは様々な視点から課題が提起された。ジャーナリストの安田浩一さんは、10年前と比較して非正規雇用600万人増加、生活保護世帯100万突破、就学援助世帯1・5倍、貯蓄ゼロ世帯3倍など、弱者切り捨ての政策が急速に進んでいることを紹介。「既成の右翼や国粋主義者ではなく、姿や形の見えないぬえのようなナショナリズムの動きが危険。外国人や労働組合、公務員が攻撃の標的になっており、それが素朴な若者にうけている。シンプルな極論こそ胸に響くというのはオカルト宗教と同じだ。そういう人たちに何をどう働きかけるかが課題」と指摘した。
龍谷大学教授の田中宏さんは「旧植民地出身者で日本国籍を剥奪された元軍人・軍属には1円の補償もない。しかし、元日本軍人には一人あたり1億3千万円が支給され、戦没者などの遺族には今でも特別給付金の名目で10年ごとに支払われている。政府が政教分離と言っても、靖国合祀事務は厚生省通達で国費負担となっている。これが現実だ」と戦後補償拒否の実態を批判した。
韓国から来日したハルモニが発言
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強制動員真相究明ネットワークの福留範昭さんは韓国における真相究明運動の盛り上がりを紹介し、「加害国である日本での遺骨調査などの究明が急務」と訴えた。
映画・証言で考える
各戦後補償支援団体が発言。在韓軍人軍属裁判を支援する会からは「戦争犯罪者と原告の父らを一緒に合祀している靖国神社に合祀取り下げを求めている。原告と日本の支援者の姿を描いた映画『あんにょん・サヨナラ』を是非見てほしい」。全国9か所で旧日本軍性奴隷問題の証言集会を開いた若者は「(元『慰安婦』が共同で生活を送る)韓国のナヌムの家を訪れたのを機に、被害者を招待し話を聞いてもらおうと思い、ネットやメールで知らせて実現することができた。若い世代が体を動かし、戦争問題を考えていきたい」と語った。
実行委員会は12月4日、東京・日比谷公園で音楽会を開き、戦後補償と平和を求める銀座デモに取り組む。