派兵延長に抗議
小泉内閣は12月8日、イラクへの自衛隊派兵の1年間延長を臨時閣議で決定した。占領軍撤退を求めるイラク民衆の声や国際世論、派兵延長に反対する国民世論(過去最高の69%が反対、11/30朝日)を踏みにじるものだ。
小泉は、直前の3日に額賀防衛庁長官を現地サマワに派遣し、5日にはイラクかいらい政府ジャファリ首相を招請して派兵延長の要請を演出した。また、閣議決定に「政治プロセスの進展状況、英豪軍をはじめ多国籍軍の活動状況―等を勘案して適切に対応する」と盛り込み、マスコミに「撤収条件」「陸上自衛隊は英豪軍と同時期に撤退」と報道させて延長を決めた。反対世論対策に必死なのだ。
だが、米軍の兵站(たん)を担う航空自衛隊は活動拡大を検討し、政府は「撤退」「撤収」を明文化していない。それは、小泉のブッシュへの「配慮」だけではなく、日本自身が石油権益獲得のために、長期占領と恒常的な派兵体制づくり(恒常的派兵法や国民保護計画=戦争体制の強化)を進めているからだ。
石油利権確保を狙う
12月15日にイラク国民議会選挙が行われる。占領軍が支配し、無差別テロが横行し、言論の自由も保障されない選挙に民意は反映しない。そもそも、でたらめと不正が横行した憲法制定国民投票(10月15日実施)に基づく国民議会選挙に正当性など一切ない。
国民議会選挙を求めているのはグローバル資本だ。イラクの資源を横領するために、グローバル資本と占領軍を代弁するかいらい政権に権威を持たせ、長期占領を正当化するための選挙なのだ。
日本政府は今、占領国の中軸となり石油利権競争で主導権を確保することを狙っている。12月6日、二階経済産業相とイラクのウルーム石油相は、石油・天然ガス分野での「協力」を定めた共同声明に署名。石油積み出し港である南部バスラ港の復旧やバスラ製油所の改修に円借款(03年に表明した35億ドルの一部)を投入し、日本企業との連携へ経産省とイラク石油省の共同委員会設置を決めた。イラク戦争後、初の本格的エネルギー協定となるものだ。
イラク首相招請も、選挙支持も、派兵延長も、この石油利権狙いで1つにつながる。
1月国際連帯集会へ
1月29日に「イラク自由会議(IFC)とともに―占領軍撤退!イラクの民主的再建をめざす国際連帯集会」が開かれる。IFC、イラク女性自由協会をはじめ、アメリカ、イギリス、フランス、韓国、フィリピン、インドネシアなどから参加が予定されている。
たとえ無法選挙で「新政府」をでっち上げても、イラク民衆の意思とは無縁だ。これに対しIFCの闘いは、占領軍・政府・企業への行動で基本的権利を実現し、暴力と破壊から子どもを守る子ども保護センターを開設するなど社会の民主的再建をめざしている。イラク民衆の声を代表する対案であり、占領軍撤退を実現する力だ。だからこそ連帯の輪が広がっている。
イラク子ども保護センター写真・絵画展を開催し、イラク社会の現状とIFCの闘いを紹介しよう。全占領軍―自衛隊の即時全面撤退を求め、1・29国際連帯集会に参加しよう。 (12月10日)