2006年03月10日発行926号

【926号主張 / 3・12岩国市住民投票へ / 自治の力で基地強化ノー】

移転への賛否問う

 厚木基地空母艦載機の岩国基地受け入れに賛成か反対か―市民の意思を問うため岩国市長は住民投票の実施を発議した。投票日は3月12日。

 昨年6月、岩国市議会は全会一致で反対決議を採択。さらに市人口の約半数、6万人の反対署名を国に提出した。しかし、それらを無視して日米両政府は10月29日、在日米軍基地再編に関する「中間報告」を発表し、岩国基地に厚木基地空母艦載機57機とその夜間離着陸訓練の移転を押しつけようとしている。

 移転・基地機能強化反対の運動は正念場を迎えた。その時、市議会の中から受け入れを前提として「地域振興策」を求める意見が浮上する。このような中、住民投票の実施が決定されたのである。

 米軍再編をめぐって全国で初めて行われる住民投票だ。投票率が50%を超えれば住民投票は成立、市長・市議会はその結果を最大限尊重する義務を負うことになる。

無防備運動と共通

 岩国市住民投票の意義はどこにあるか。

第1に、在日米軍基地再編強化に対し明確にノーをつきつけ、それを阻む大きな力を形成していくことである。

 岩国基地周辺6市町村住民を対象にした中国新聞の世論調査では、厚木基地機能移転「反対」が75・9%に達した(「賛成」は16・5%)。住民投票が成立すれば結果は明らかだ。それは新基地建設に反対する沖縄・名護の闘いをはじめ全国の基地反対運動を励ますものとなるだろう。

 第2に、大事なことはみんなで決めるという、主権者住民の自治権を行使する取り組みであることだ。国は「住民投票の結果には左右されない」とうそぶき、「国防は国の専管事項」との立場を譲らない。これに立ち向かい反撃する。住民投票は、いま全国に広がる無防備平和条例の直接請求運動と同様の、住民自ら平和な地域を作りだす一歩となる。そのことが戦争推進と地方自治否定の自民党新憲法制定策動を阻む力を築く。

住民投票の成功を

 住民投票をつぶすために政府は様々な手を打っている。

 岩国市議会の約8割の議員が市長に住民投票反対を申し入れた。防衛施設庁は新たに「米軍再編対策交付金」を予算化し、「地域振興」をエサに基地機能移転受け入れを迫っている。また、住民の間に「国が『反対しても撤回しない』と言っているのだから投票してもむだ」とのあきらめムードを煽っている。

 だが、最後は住民の意思がすべてを決定する。住民投票の結果を誰も否定することはできない。名護は今も新たな基地をつくらせていない。

 住民投票の成功へ全国から支援・連帯行動を強めよう。

 第1に、岩国市や広島県西部の住民が展開している「住民投票を成功させる」活動への支援を行おう。住民や平和運動団体が取り組む投票参加呼びかけビラの配布、3・5人文字行動など現地の行動に参加し、カンパを送ろう。

 第2に、無防備平和条例制定を求める直接請求運動をさらに広げよう。住民の力で、平和的生存権・住民保護を保障する平和な地域を自治体主導でつくる。この運動は岩国をはじめとする米軍基地再編反対の運動に対する大きな連帯となる。  (2月20日)

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