2006年06月30日発行941号
ロゴ:国際法を市民の手に 

第93回『イラク世界民衆法廷(13)』

 2004年12月11日、ソウル(韓国)でイラク世界民衆法廷ソウル法廷が開かれた。

 被告人は、ブッシュ大統領、ブレア首相および盧武鉉大統領である。チャン・ジョンウクとキム・ハクンが弁護人を務めた。

 3413人の市民が共同告発し、キム・チルジュン、ウィ・デヨンおよびリ・サングィが検事を務めた。

 訴因は、次の7項目である。韓国は3600人の軍隊をイラクに派遣したので、盧大統領を被告人としている。

 1.イラク侵略の罪(ブッシュ、ブレア)

 2.イラク侵略と韓国政府の責任(盧大統領)

 3.戦争犯罪(無差別爆撃、大量破壊兵器の使用、民間人攻撃)

 4.戦争と占領による人民への加害(食料、健康、衛生、教育の破壊)

 5.ファルージャに代表されるジェノサイドおよび捕虜虐待

 6.韓国軍派遣によるイラクでの韓国市民の生命権侵害

 7.韓国軍派遣による韓国市民の諸権利侵害

 弁護人は特に次の3点を強く主張した。

 1.「9・11」およびテロリズムから安全と平和を守るためには米英は予防的攻撃をせざるを得ず、イラク攻撃は正当である。

 2.韓米同盟はグローバルな共同体における責任あるメンバーとしての必須の関係であり、これに基づくイラク派兵は正当である。

 3.米英軍による戦争犯罪は一部の兵士による偶発的事件に過ぎない。

 判事団は、リ・デク、リュ・ユンスク、パク・ミンス、ビョン・ヨンシクおよびホン・セファの五人である。

 判事団は公判における証言、文書および弁論に基づいて評議した結果、全員一致で次のように認定した。

 1.ブッシュ・ブレアによるイラク戦争は侵略の罪にあたる。

 2.盧大統領による韓国軍派遣は侵略の罪の共犯である。

 3.米英連合軍は無差別爆撃、大量破壊兵器の使用などの戦争犯罪を犯した。

 4.イラク人民は米英連合軍による侵略によって被害を被った。

 5.米英連合軍はファルージャで大虐殺を行なった。

 6.米英連合軍はアブグレイブ収容所で組織的に拷問や虐待を行なった。

 7.韓国軍派遣はイラク人民の生命権侵害である。

 8.韓国軍派遣は韓国人民の生命権侵害である。

 その上で判決は例えば次のような勧告を出している。

 1.占領軍の即時撤退、占領終結、イラク人民の諸権利侵害の終結、自由と主権を守るイラク人民のレジスタンス擁護。

 2.イラク人民への被害補償とイラク再建への協力。占領軍ではなくイラク人民による再建と国際協力。

 3.国連と国際法による平和と安全の再確立、単独行動主義の中止、イスラムに対する敵意ある煽動の中止。

 4.世界の秩序と人民の権利を損なうテロとの闘いの中止、愛国者法の廃止、基本的権利の保障。

 5.被害者への謝罪と完全な賠償。

 6.基本的人権としてのレジスタンスと不服従の再確認。

 7.文化遺産の破壊、環境破壊の予防措置、放射能被害の最小化。

 8.侵略の罪や人道に対する罪の記録を残すこと。被害者の補償と記憶化。「われらの歴史が侵略者を永遠に裁くであろう」。

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