住民虐殺の国家テロ
イスラエルによるむき出しの侵略−国家テロがパレスチナとレバノンで吹き荒れている。
イスラエルは、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスの武装部隊がイスラエル兵士1名を拉致したことを理由に、6月末からガザ地区の自治政府施設・発電所・住宅密集地を空爆。戦車・戦闘部隊を投入し、破壊を続けている。
さらに7月12日、レバノン南部に活動拠点を持つイスラム教シーア派民兵ヒズボラがイスラエル軍兵士2名を拉致したことへの「報復」としてレバノン南部にも侵攻。14日には南部の石油貯蔵施設、ベイルート国際空港、シリアに続く幹線道路や橋梁を空爆した。空爆はレバノン全域に拡大し、16日段階で市民135人が死亡(レバノン保健省発表)。クラスター爆弾が使用されたとの報道もある。
ガザ地区では、ヘリからのミサイル攻撃で一般住宅を無差別に破壊し、消費電力の60%を供給してきた発電所も破壊した。停電が広がり、水道や病院などが機能停止状態に追い込まれている。道路・橋・変電所なども集中攻撃を受けた。
イスラエルの侵攻はパレスチナ住民の生存基盤そのものを破壊するものとなっている。この民間施設爆撃は明らかな国際法違反であり、イゲランド国連事務次長も非難している。
イスラエルの挑発から
一連の事態の背後には、イスラエルによる計画的な国家テロ行為がある。
侵攻に口実を提供する、武装勢力による拉致は厳しく批判されねばならないが、拉致事件自体イスラエルからの挑発的テロが引き金となった。
6月9日イスラエル海軍はガザ地区の海水浴場を砲撃しパレスチナ市民7人を殺害、数十人を負傷させた。同じ日にハマス派幹部をガザ市内でミサイル攻撃し3人を暗殺した。このテロ行為によってハマスは2005年2月から続けていた停戦の破棄を宣言し、イスラエルに対するロケット攻撃を再開。イスラエルも「報復」として数度にわたりガザ市や南部の都市へミサイルを撃ち込んだ。
拉致事件は、この「報復合戦」の中で発生、6月27日にイスラエル軍がガザ地区に再侵攻したのである。
交渉を拒むイスラエル
もうひとつ重要な点がある。27日、アッバス自治政府議長の支持母体のファタハと内閣を組織するハマスとが将来のパレスチナ国家に向けた政策合意に達していたことだ。
両者は、67年第3次中東戦争でイスラエルに占領された東エルサレム、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区を領土とするパレスチナ国家樹立に合意した。ハマスはこれまで、イスラエルの承認を拒み、現在のイスラエル領を含むパレスチナ全域を解放する武装闘争を主張し、ファタハと対立してきた。合意文書ではイスラエル承認に触れてはいないが、合意は、事実上イスラエル・パレスチナの共存と交渉の道にハマスが歩み寄ったことを意味している。 この合意は、いずれ、イスラエルが和平交渉のテーブルにつかざるを得ない状況をもたらす。
だが、イスラエルのオルメルト内閣は、交渉によらず一方的に西岸地区の国境確定を進めようとする連立合意で生まれた内閣だ。大規模な政府入植地や東エルサレムを領土に併合する国境確定を狙う。
和平交渉はこの強硬策の障害になる。ハマスが武装闘争を放棄せず、パレスチナ内部で内紛が続く限り、交渉は拒否できる。ガザ再侵攻は和平機運を生み出させず、パレスチナとの交渉を遠ざけることを最大の目的としたものなのである。
侵略認める米の拒否権
7月13日、国連安保理に提案されたイスラエルのガザでの軍事行動停止要求決議に対して、ブッシュは拒否権を発動し決議を葬り去った。この拒否権発動は、ガザ侵攻だけでなく、レバノン侵攻も後押しする犯罪的役割を果した。
イスラエルのガザ、レバノン侵攻を「自衛権の行使」などと擁護するブッシュの対応は、中東和平への道を破壊し、罪もない人々に甚大な犠牲と被害を強いる犯罪行為だ。
またこの間、小泉は朝鮮のミサイル発射への安保理制裁決議採択にのみ奔走し、中国・ロシアの拒否権発動姿勢への批判を声高に叫び続けた。だが、ブッシュの拒否権発動については一切批判しなかった。全くのダブル・スタンダード(二重基準)であり、国際的批判世論の高まりに水をかけるものだ。
時機を同じくして日本の閣僚らが「自衛権の範囲での敵地攻撃能力を自衛隊に」などと放言したが、それは「自衛権」の名でイスラエルの国家テロ同様の先制攻撃を狙っていることをあらわにした。
ブッシュ・小泉らのダブル・スタンダードを許さず、イスラエルの侵略批判の国際世論を広げねばならない。拉致兵士の解放、即時停戦とともに、ただちに和平交渉の再開を求めるときだ。