ロゴ:国際法を市民の手に 前田朗 2006年08月11日発行948号

第97回『イラク世界民衆法廷(17)』

 2005年6月25日、イラク世界民衆法廷第4セッション「イラク侵略と占領」は、ハイファ・ザンガナ(イラク女性作家、ロンドン在住)が統括した。

 19本の証言が続々と行なわれた。ダール・ジャマイル「イラクにおける戦争犯罪の証言」、猿田佐世・稲森幸一・田場暁生(弁護士、イラク国際戦犯民衆法廷検事)「禁止された兵器の使用」、トーマス・ファシィ「イラクにおける劣化ウランの健康への影響」、デニス・ハリディ(元国連イラク調整担当官)「国連の活動」、ハナ・イブラヒム(トルコ大学院生)「ジェンダーに基づく暴力(安全とジェンダー暴力)」、エマン・ハマス(元イラク占領監視センター)「日常生活の荒廃(安全と教育制度)」、ティム・グッドリッチ「米軍の行動」、アマル・サワディ「拘禁と監獄の状況」、ファディル・アルベドラニ「集団処罰」、ジョエル・コヴェル「戦争のインフラストラクチャーへの影響」、ヘルベルト・ドセーナ「経済的植民地化」、モハメド・アルラホー「占領下のイラク法」、アブダル・イラー・アルバヤティ「イラクへの政権移譲」、ニルーファ・バグワット(弁護士、ムンバイ大学元教授、イラク国際戦犯民衆法廷共同代表)「戦争の民営化」、ネルミン・アルムフティ「囚人としての占領」、バーバラ・オルシャンスキ「アメリカのテロとの戦いの実施と国際法―グアンタナモを素材に」、マーク・マニングおよびラナ・ムスタファ「ファルージャからの証言」、アブドル・ワハブ・アルオベイディ「イラクにおける人権侵害と失踪」、ヨハン・ガルトゥング(平和学者)「人権とイラクへの違法な攻撃」である。イラクに対する侵略と占領がいかに行なわれ、どのように国際法と国内法を破壊し、人々の暮らし、生命、人権を剥奪し、都市や民生施設を破壊したかを詳細に論証した。

 6月26日、第5セッション「文化遺産・環境・世界資源」ではヒラル・エルヴァーの統括のもとに4本の証言がなされた。ギュル・プーラン「文化遺産の破壊」、アマル・アルケダイリィ「文化遺産破壊の証言」、ジョエル・コヴェル「戦争の環境上の意味」、ソワド・ナジ・アルアザウィ「イラクにおける放射能汚染の証言」である。

 第6セッション「グローバルな安全環境と将来の選択肢」ではアイシェ・ギュル・アルティナイの統括のもとに11本の証言が行なわれた。アイシェ・ギュル・アルティナイ「ミリタリズムと暴力の文化」、ナジェ・アルアリ「ジェンダーと戦争―イラク女性の苦境」、リズ・フェケッティ「人種主義と不寛容を作り出す」、サミール・アミン(国際経済学者)「軍事化の経済」、アーマド・モハメド・アルジャラダット「イラク、パレスチナ、イスラエルの関係」、ジョン・ロス「付随的損害―メキシコの例」、クリスチン・チンキン(ロンドン大学教授、女性国際戦犯法廷判事)「イラクにおける人間の安全保障」、ケン・コーツ「平和運動の将来」、コリーヌ・クマール(アジア女性人権評議会、女性世界法廷代表)「新しい政治的想像力に向けて」、ビジュー・マシュー「オルタナティヴな未来のための選択肢」、イラク世界民衆法廷イスタンブール実行委員会「オルタナティヴとしてのイラク世界民衆法廷」である。

 すべての証言を踏まえて、リチャード・フォーク検事団長が最終弁論を行なった後、陪審長のアルンダティ・ロイ(インド女性作家)が陪審団の所見を述べて閉廷した。

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