戦争をなくすには、どうすればよいか。答えは簡単だ。戦争の道具をなくしてしまえばよい。戦争に協力しなければよい。日本は、60年も前に国をあげてそう宣言したはずだった。
ところが、誰にもわかるこんな話をまぜっかえす連中がいる。”相手よりも強力な武器がないと攻められる””みんなが戦っているのに逃げるのは卑怯だ”とわめき散らす。
そんな連中に言い負かされそうな気のする、でも戦争はいやだと思う人は本書を読んでみてほしい。
戦争を引き起こすのは為政者だ。武器や軍隊は、住民を危険にさらすことはあっても安全を保障するものではないことがよくわかる。
例えば、「無防備の地域と武装された地域のどちらが攻撃を受けるか」と考えてみればよい。住民の4人に1人が殺され沖縄戦で、軍隊を駐屯させなかった前島の住民には犠牲者が出なかった。こんな挿話が絵になっている。
もう一度、自分の住んでいる町から、自衛隊や基地をなくし、戦争には協力しないと宣言することが、今誰にもできる平和のための最も有効な取り組みだ。これが、本書のベースになっている無防備地域宣言運動であり、キャラクター”無防備マン”だ。
本書の作者は、「似顔絵師」と自称し、いろんな材料を使って似顔絵を創作する教室を開く。湾岸戦争をきっかけに平和の大切さを考えた。「命が大事だから戦争に反対する」ーこの当たり前の気持ちをそのままマンガにした。
ほとんどの人は戦争が嫌いだ。でも「戦争はよくないけど仕方がない」と思う人は多い。そんな人に作者は「あきらめないで戦争をなくそう」との熱いメッセージを送っている。
本書とともに平和を築く力を広げてほしい。(T)