2007年02月02日発行971号

【ドクター林のなんでも診察室 インフルエンザとタミフル】

 宮崎県の鳥インフルエンザ流行が、なぜこれほど大々的に報道されるのか不思議に思われませんか。一般の方はしつこく報道されても何の利益にもならないし、被害者である養鶏業者の「風評被害」が拡大するだけではないでしょうか。

 しかし、鳥インフルエンザ報道は、ここ数年、実に大々的です。同時に、抗インフルエンザ薬のタミフルが爆発的に売れ、昨年には科学的根拠が全くないタミフルの大量備蓄が始まりました。インフルエンザワクチンも大いに売れています。これらの報道の陰で莫大な利益を上げている人たちがいるのです。

 ところで、タミフルの重大な副作用が『薬のチェックは命のチェック』を発行している浜六郎氏により指摘されてきました。特に、マンションから飛び降りるなどの行動異常が広く報道され、タミフルの乱用に歯止めがかかったように思えました。

 それに対して、厚生労働省や御用学者を使った猛烈な反撃がされています。昨年11月には厚労省研究班が、この副作用はインフルエンザそのものの症状でありタミフルは安全、と宣言しました。ところが、この研究たるや、副作用をごまかすためとしか思えない研究方法をとっています。この研究が発表された学会で私たちがそのことを指摘すると、「研究をやり直します」と答えざるを得ないほどです。さらに、浜氏がそのデータを使って副作用を証明したものですから、もう隠しようがありません。

 その学会の直後、米国の規制当局FDA(アメリカ食品医薬品局)はタミフルの注意書きに神経精神異常の副作用を強調するように指示しました。その根拠となった「覚え書き」には、世界から103例の精神神経異常報告があります。これらは、タミフル服用後1日以内に集中し、医者が副作用と疑い中止すると改善した例が多い、インフルエンザだけでは2階から飛び降りたり自殺しようとするような症状は起こらないなど、異常がタミフルの副作用によるものだと明示しています。FDAは、一昨年にずさんな分析で「タミフルと関連不明」と結論していたのですが、今回はかなりまともな報告書です。

 タミフルは「1日早く症状を抑える」とされていますが、B型に効くという証拠は乏しく、脳炎や死亡率を減らす証拠はありません。そんな薬の副作用でご家族を亡くされた方はさぞ無念かと思います。

 2月4日に愛知県スポーツ会館で、「薬害タミフル脳症被害者の会」と予防接種被害と取り組む「ワクチントーク全国」の共催、医療問題研究会などの協賛で集会が開かれます。タミフルによる被害と巨大な浪費をなくさなければなりません。

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