2007年04月27日発行983号

【DVD紹介 / Jan.27 ワシントン / 世界へのメッセージ / 制作マブイ・シネコープ DVD・VHS 35分 2007年4月 アメリカ反戦運動の息吹伝える 戦争を終わらせる時がきた】

 マブイ・シネコープ・ビデオシリーズ「21世紀をつくる」の第10作『Jan.27 ワシントン 世界へのメッセージ』が完成した。日本のメディアではほとんど報道されない今日のアメリカの反戦運動の息吹を伝える。イラク開戦以来、最大規模となったワシントンでの平和運動の全貌を追った貴重な映像である。

「これ以上殺すな」

 1月27日、50万人を超えるアメリカ市民が首都に集まった。増派反対とブッシュの弾劾を訴え「Not One More Death. Not One More Dollar(これ以上一人も殺すな、これ以上1ドルも使うな)」 と叫ぶ市民の声は、ベトナム戦争時以来40年ぶりに米連邦議事堂を取り囲んだ。

 昨秋の中間選挙以降、アメリカ反戦運動はイラクからの軍撤退を現実の日程に上らせる局面を作り上げた。1・27行動を主催した米最大の平和団体UFPJ(平和と正義の国連合)ナショナルコーディネーターのレスリー・ケーガンは「中間選挙はイラク戦争についての国民投票に一変した」と言う。そして、中間選挙でのブッシュ共和党惨敗=全国民的なイラク政策ノーを受け、当初3月に予定されていたワシントン行動は、開会される議会を照準に2か月前倒しされることになった。

 行動に参加している階層の幅広さは、米反戦運動でもかつてないほどだ。ベトナム反戦で知られる女優ジェーン・フォンダの「もはや沈黙は選択肢ではありません。私はいつでもあなた方と行動をともにします」というメッセージ。また12歳の少女モラリア・アーノルドの「今こそ戦争で失った国の誇りと信頼を取り戻す時代です」という言葉が参加者の心に響く。

 目を引くのがイラク戦争からの帰還兵の若者たちだ。100人を超える大集団をなして、反戦を訴えていた。労働者も目立った。「戦争と労働者の問題は一緒」とイラク戦争のために使われている予算を批判する。

議会を動かす市民

 ワシントン行動はデモだけでは終わらなかった。DVDには1月27日以降の映像が収められている。全米各州からの代表1千人以上が議員会館へ向かった。市民は所属する州に分かれ、議員に直接イラク政策に反対する法案に賛成するよう呼びかけた。中にはイラク戦争の遺族も参加しており、息子を亡くした悲しみを訴える姿もあった。

 撤退へ向けて議会を突き動かす市民の行動と力が伝わってくる。要請活動を担当したUFPJのシュイ・アドリーは「活動に参加した人々は隣人・協力者と話し合いを続けます。選出した議員にメッセージを送り続けます」と話す。

 反戦運動は着実に成果を見いだしつつある。議会では増派に反対する法案が可決され、上下院とも撤退期限を区切るまで至っている。現役軍人によるイラク撤退を求める署名は1千筆を超えた。

草の根が政治を変える

 4月7日東京、8日大阪で試写会が開催された。鑑賞した人々から「参加者が自然体で、日常生活の延長上として来ている」「自分たちで動かすのだというのが感じ取れた」といった声が次々と上がる。

 DVDの中に「GET MOMENT(勢いをつかんだ)」という言葉がある。草の根の運動が全米に広まり、政治を変えつつある。いまアメリカ反戦運動家たちの合言葉は「イラク開戦記念日は今年を最後にしよう」だ。戦争を終わらせる時がきた、ともに終わらせようとの思いを共有したい。(S)

 

◆問い合わせ先

 マブイ・シネコープ

 06-6786-6485(電話・FA Xとも)http://homepage2. nifty.com/cine-mabui/

 個人3500円 / 団体1万 円

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