2020年01月17日 1608号

【1608号主張 イラン司令官の空爆殺害は国際法違反 アメリカのイラン戦争に反対し 戦争協力―自衛隊派遣を阻止しよう】

 1月3日、米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官をイラクのバグダッドで殺害した。トランプ大統領は「私の指示で、米軍がテロリストの首謀者を抹殺する完璧な作戦を実施した」「我々の行動は戦争を止めるためのものだった」と暗殺を正当化した。

 しかしこの行為は、明らかに国際法違反の先制攻撃、戦争挑発行為であり断じて許されない。独立国家イラクにおいて、ドローンであれ何であれ勝手に軍事攻撃を行うことは重大な主権侵害であり、認められない。

世界は戦争にノー

 イラク労働者共産党書記長サミール・アディルは「この政策は宣戦布告とみなされ、イラクと中東の民衆の治安と安全を軍事的脅威にさらすものである」(1/4)と批判する。

 米国の反戦団体ANSWER連合は即日、「トランプ政権とペンタゴンは、イランの最高軍事指導者カシム・ソレイマニを暗殺することでイランとの戦争開始に動いた。もし、イランが公然と米国の最上級の将軍を暗殺してそれを自慢したら、米国は全面的な戦争を開始するだろう。(ペンタゴンとともに)トランプも戦争を求めているのは、そうすれば2020年の大統領再選が保証されると考えているからだ」として、「今こそ行動を起こすべき時である」と呼びかけた。

 アメリカ民主主義的社会主義者(DSA)も同日、「これは戦争行為だ。中東の何百万人もの命を危険にさらす上、戦争権限法、米国憲法、国際法を侵害している。我々は対イラン戦争に反対し、制裁撤廃とイラン核合意への復帰、イラクからの米軍撤退を要求する」と緊急声明を発した。

 米国の挑発に対し、イランは8日、「ソレイマニ氏殺害への報復」としてイラク中部の米軍基地にミサイル攻撃を加えた。まさにアメリカ―イラン全面戦争の危機が迫っている。

武力行使狙う派兵許すな

 事態について安倍首相は4日段階では、「今月諸般の情勢が許せば中東を訪問する準備を進めたいと思っている」と述べた。暗殺に一切言及せず、「(ゴルフをして)おかげさまでゆっくりできました」と全く無責任な態度をとっていた。

 12月27日の閣議決定により、1月中旬にもP3C哨戒機が中東情報収集活動を開始し、2月以降護衛艦「たかなみ」を派遣する計画だ。まさに戦争状態の地域に自衛隊を派遣し、海外での武力行使を狙うものである。その計画の最高責任者たる安倍が自衛隊員の命を危険にさらす可能性にも触れることなく、政府はなお「方針に変更なし。準備に万全を」(1/8菅官房長官)と派兵に固執する。到底許すことはできない。

 全世界の平和を求める人びととともに米国によるイラン戦争に反対しよう。すべての外国軍隊の中東からの撤退を求めよう。自衛隊の中東派遣を阻止しよう。

   (1月8日)
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