2020年01月17日 1608号

【モノ扱いの不安定雇用 なくす歩みを/派遣法違反の摘発から派遣法廃止へ/首都圏なかまユニオン】

 日本の非正規雇用は、1985年の労働者派遣法制定とその後の同法改悪とともに拡大し、今や労働者全体の3分の1を超える。モノ扱いの不安定雇用をなくす共通の取り組みの第一歩にしようと、首都圏なかまユニオンは12月21日、都内でつどいを開いた。

 元龍谷大学の脇田滋さんが派遣法撤廃の必要性と課題について講演。

 「(派遣法制定時の首相・中曽根康弘は)国鉄労働組合をつぶせば労働運動をつぶせる、と国家的不当労働行為を行った。民間企業でも、派遣が広がれば企業別組合は派遣労働者は組織できない、と見込んだ。派遣法は団結抑圧法」「有給休暇も派遣先が変わればリセットされ、何十年働いても有休ゼロ。労働者の涙を企業の利益に変えてきたのが派遣法だ」と断言し、「日本の派遣法は世界最低最悪。確信をもって言える」と以下の5点をあげる。

 (1)労働力を利用する派遣先企業の責任を免除(2)同一労働差別待遇(EUはパートタイム・有期・派遣すべてについて差別を禁止。韓国にも同様の規定がある)(3)労災などの危険の「外注化」(4)国・自治体が派遣労働を率先して拡大(東京地裁は足立区の戸籍窓口業務民間委託を違法と認定した)(5)労働者分断と労働組合の骨抜き・弱体化。

 脇田さんは派遣法撤廃をめざしつつ当面、世界標準の抜本改正をすべきだとして、とくに労働協約の拡張適用の必要性を強調した。「フランスの組合組織率は日本の半分以下=約10%だが、協約は95%に適用される。ストライキは個人の権利で、組合員でなくても行使できる。年金ストに全労働者が参加する。韓国の労働組合も企業別から産業別に変わり、非正規労働者もストに立ち上がる」

声上げた当事者

 講演に続き、派遣労働当事者の3人が発言。

 ユニオン派遣支部の河村有紀子さんは、ハラスメントを契機とする派遣切りを自ら体験している。「派遣法が定める派遣管理台帳の記帳義務を企業は果たさない。ささやかな願いも聞き入れられず、苦情処理簿にも書かれない。コピー機のほうが大事にされている。メンテナンス記録がされ、チェックもされる。私たちはモノ扱いというよりモノ以下の扱い」と憤り、「団体交渉で管理台帳などを出させ、違法行為を摘発していけば、波及効果はある。ユニオンが働きかけたことで誰かが救われればうれしい。ハラスメントや不当解雇も減ってくると思う」と確信を語った。

 「被害者が声を上げることが叩かれるご時世。“貧乏自慢するな”などと訳の分からないディスられ方をする。でも、出過ぎる杭は打たれない」と話すのは、19年参院選でれいわ新選組から立候補した渡辺てる子さん。17年勤めた派遣先企業から2年前、雇い止めされた。「契約は3か月ごと。年4回びくびくしながら更新した。労働組合に加入することは怖くてできなかった。“派遣の女の老後なんか知ったことか”と言われたこともある。派遣の問題は派遣労働者だけの問題ではない。半失業を生み、雇用差別を正当化する」と訴える。

 偽装請負を告発し、直接雇用を求めるL.I.A労組の有田昌弘さんからは「裁判の判決は3月13日。勝たないと、非正規労働者が救われる道がますます狭くなる。署名をはじめご支援を」とアピール。

ユニオンで闘う

 意見交換では、「ベネッセが個人情報漏えい事件を起こしたとき、お客様相談室のクレーム対応の短期派遣として就業。マニュアルで『責任者』と名乗らされた。6時間電話を切れなかったことも。“殺すぞ”と脅迫されてやっと警察OBなどの上部対応者に代わってもらえる」といった実態が明るみに出された。

 首都圏なかまユニオンは今後、団体交渉を軸に労働局や労働基準監督署への申告を活用しつつ、派遣法違反を摘発し派遣労働そのものの廃止をめざす取り組みを広げていく。



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