2020年01月17日 1608号

【みるよむ(540)イラク平和テレビ局in Japan 2019年12月28日配信:イラクの市民デモの要求とは?】

 2019年10月、失業と貧困、格差拡大に苦しむイラク市民が立ち上がり、全国各地で対政府抗議デモを展開した。サナテレビは、大規模な市民デモの直前に、バグダッドの中心部タハリール広場に集まる市民にインタビューを行い、その訴えを伝えた。

 インタビューに最初に登場する市民活動家は、今回の「10月蜂起」と言われる大規模なデモの始まりとなった10月1日のデモから参加している。アブドルマハディ首相は、口先だけ「社会サービスを提供する」と約束しても実際には何もしていない。この活動家は「イラクの市民が絶望と貧困、失業の中で暮らしているのは、政府のせいです」と厳しく批判する。

 もう一人の市民も「私たちが望んでいるのは、住む家の不足という危機と失業危機の解決だ」と人びとの生活の窮状を訴える。「明日は私が望んできた素晴らしいデモになるでしょう」とデモ成功に確信を持ち、「憲法の権利に基づいたデモで市民として世界に展望を見せたい」と希望を語る。

 3人目に登場する市民も同様だ。「治安部隊の妨害行為も殴打も認めません」と厳しい弾圧に対しても毅然とした闘いを進める覚悟を表明する。事実イラクの市民デモは、イスラム政治勢力や政府の治安部隊が実弾を発射するという弾圧をかけても命がけでデモの隊列を前進させている。

首相辞任はデモの成果

 さらにこの市民は「政府は何の知識もない人たちを連れてきて高い役職に任命している」と、宗派や民族主義勢力の都合で権力を分配するだけの政府の無能ぶりを批判する。

 2019年11月末、アブドルマハディ首相は辞任を表明した。これは厳しい弾圧を受けながらも続けられた市民デモの成果である。しかし市民の闘いはこれからが本番だ。イラク市民に日本からも連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

 
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