2020年01月24日 1609号

【米国・イラク―世界はイラン戦争にNO 侵略も民衆抑圧も許さない】

 日本の大手メディアではほとんど伝えられないが、1月3日米軍によるイラン司令官暗殺直後から、イラン戦争ノーの行動は世界に広がり、25日には世界抗議デーが呼びかけられている。米国はじめ世界の民衆、そして攻撃のターゲットとなったイラク、イランの民衆は何を訴えているのか。

 世界のイラン戦争反対デモの口火を切ったのは米国の反戦団体だ。ANSWER連合などは1月3日、「トランプ政権とペンタゴンは戦争の開始に動いた。合衆国憲法と、戦争権限法、国際法に違反し違法な軍事行動をとった」と4日の緊急デモを呼びかけた。

声上げる平和勢力

 女性反戦団体コードピンクや平和のための退役軍人の会(VFP)、米国反戦労働者の会(USLAW)など多くの団体・個人が賛同し、ニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコ、シアトルなど90か所1万5千人以上がデモ。

 カナダやイギリス、日本などでも行動があり、英ストップ戦争連合は4日首相官邸前抗議、11日にはロンドンで「イランを攻撃するな」緊急デモを行った。

 緊迫の高まった9日、全米のデモは370か所に広がった。同日、米下院は大統領の対イラン軍事行動を制限する「イラン戦争権限決議案」を賛成多数で可決。決議は、宣戦布告などがない場合、議会承認がなければ30日以内に全軍事行動中止を求めるものだ。議会の動きや、イランによる米軍基地攻撃後トランプが即時報復攻撃をできなかった背景に、イラン戦争ノーのこうした広範な声がある。

イラク-イラン民衆の怒り

 イラク、イランの民衆と社会変革を求める勢力は、マフィアのテロ作戦に等しい米軍の暗殺を厳しく批判し、同時に戦争の危機が、生活改善と人権を求める市民の運動や社会変革の闘いの弾圧に利用されることに強く警鐘を鳴らしている。

 1月3日、イラク労働者共産党書記長サミール・アディル、イラン労働者共産党(創設者)ヘクマト派はアピールを発した。

 イラクでは、失業と貧困、政治腐敗に憤る何百万もの市民が10月蜂起≠ノ立ち上がり、治安部隊やイランの影響下の宗派主義私兵などの弾圧にもひるまず、アブドルマハディ首相に辞任を余儀なくさせた。イラン革命防衛隊ソレイマニはバグダッドで殺害されたが、イラク民衆弾圧に深くかかわっていた。イランでも11月、ガソリン価格値上げを契機に全土で大規模な抗議デモが起こり、政府は深刻な危機に陥っていた。

 こうした状況下で現在の軍事緊張がある。イラク労働者共産党は、米国は政治的影響力拡大、イラン・イスラム共和国は中東での蜂起鎮圧のために戦争を必要としていると指摘し、イラクとイランの民衆、世界の解放勢力に戦争に反対しようと訴えている(1/8声明)。

1・25世界抗議デーへ

 ANSWER、USLAW、平和と正義のための連合(UFPJ)など全米の平和団体が1月25日「全世界抗議行動デー―イラン戦争にNO!(Global Day of Protest―No War on Iran!)」を呼びかけている。

 「トランプ政権は米国をイランとの戦争に引き込みつつあり、中東全域を巻き込み予測不能な全世界的紛争となるだろう。世界の人びとは立ち上がって止めることが必要だ。今こそ行動を起こす時だ。全世界での抗議行動に合流を」

 この行動に連帯し、イラン戦争を止めよう。







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