2020年01月24日 1609号

【未来への責任(290)タラワ島で韓国人遺骨確認】

 来る1月21日、厚労省及び外務省と戦没者遺骨問題の意見交換会を行います。韓国人遺骨問題の交渉は5回目ですが、「ガマフヤー(ガマ=壕を掘る人)」「太平洋戦争被害者補償推進協議会」「『戦没者遺骨を家族の元へ』連絡会」の3者で行うのは初めてです。

 ガマフヤーの具志堅隆松さんとの出会いは2013年、権水全(コンスジョン)さんのお父さんの沖縄戦での痕跡と遺骨探しの時でした。権さんの父は国の記録では行方不明扱い。具志堅さんは戦時中の地域の記録を探し出して所属部隊を小隊まで確認し、戦時中の行動にそって権さんを案内されました。権さんは「今まで何回か沖縄に来たが、初めて父に本当に近づいたと感じた」と述べられました。具志堅さんは記者会見で「ガマから出てくる遺骨には朝鮮・韓国人の遺骨もあるんです」。沖縄県民の願いと韓国人遺族の遺骨探しが初めて手をつないだ瞬間でした。

 その後6年余り、私たちは沖縄戦遺族のDNA鑑定を国に求める取り組みを進めました。当初、骨と一緒に出土した遺品に名前がある場合だけがDNA鑑定の対象でしたが、今は沖縄戦で亡くなった遺族が希望すれば鑑定可能となっています。遺骨とDNAを照合した遺族は800人を超え、その半数以上は具志堅さんと私たちが3年にわたり沖縄現地の慰霊祭やDNA鑑定集団申請説明会で呼びかけた方々でした。

 韓国人遺族の鑑定事業参加を進めることは日本の責任です。日韓両政府を動かす努力を重ね、韓国政府が韓国人沖縄戦遺族163人のDNA鑑定を行い日本政府に遺骨との照合を要求するところまで来ました。

 そして今また大きな動きがありました。中部太平洋タラワ島で亡くなった方の遺骨の共同鑑定をアメリカが日本・韓国に呼びかけ、韓国人遺族1人の遺骨が確認されたのです。タラワ島の4800人死亡のうち朝鮮人は1200人に及びます。韓国では150片の遺骨を持ち帰り、184人の遺族のDNA鑑定を行いました。日本も約160人分の遺骨が新たに見つかり、厚労省が鑑定を始めています。遺品などがない海外の遺骨のDNA鑑定は初の試みです。やればできる。日韓は戦争被害者のために協力できるのです。

 1月21日の意見交換会は午前10時から衆院第2議員会館地下第1会議室にて。日韓マスコミにフルオープンです。多くの国会議員・市民の参加でさらにもう一歩前へ! 遺骨問題を動かしましょう。参加希望者は090―2062―5695まで。

(「戦没者遺骨を家族の元へ」連絡会 上田慶司)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS