2020年01月24日 1609号

【みるよむ(541)2020年1月11日配信 イラク平和テレビ局in Japan デモを闘うイラク市民の声 ―人間らしい生活と民主主義を求めて―】

 2019年10月、イラク市民は失業と汚職、貧困に抗議するデモを全国各都市で行った。サナテレビは、大規模なデモを翌日に控えた首都バグダッドで市民にインタビューした。

 2019年10月以来のイラク市民の闘いは「10月蜂起」と呼ばれる。抗議する市民が全国の都市で政府を批判する大規模なデモを展開している。

 「朝6時にデモに一番乗りをした」と語る女性は「市民の苦しみはますますひどくなった。大学を卒業した若者が、路上の物売りしか仕事がありません」と訴える。

 イラクの政府や政治家たちは、市民の窮状など知らん顔だ。それどころではない。イランと結びついたイスラム政治勢力の私兵などが実弾発射などによって市民を弾圧している。イラクではすでに何百人もの犠牲者が出ている。

 他のデモ参加者は「イラク軍や治安部隊も、市民に協力してほしい」と求める。「権力を持った者はみな、国家の財産を盗んで逃げていきます」という政府への怒りと、当然の権利への介入を許さない強い決意が感じられる。

市民弾圧に紛争を利用

 「10月蜂起」の市民デモは、腐敗した政府を追いつめている。アブドルマハディ首相は退任を表明せざるを得なくなった。

 そうした中1月3日、トランプ大統領が直接命令し米軍はバグダッド空港近辺でイランのソレイマニ司令官を殺害した。反発したイランはイラク国内の米軍基地にミサイル攻撃を加えた。

 米国もイランも、映像で伝えられるイラク市民の立ち上がりを押さえ込むためにこの紛争を利用している。安倍政権はこの状況を口実に中東派兵を推進している。

 だからこそ、日本から自衛隊派兵を許さぬ闘いで、生活改善と民主主義を求めるイラク市民に連帯することが求められている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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