2020年01月31日 1610号

【2020年度政府予算案/消費税が歳入のトップに/6年連続過去最大を更新/軍事費は青天井の5・3兆円】

 1月20日開会された通常国会で、2020年度政府予算案が審議される。この予算案は軍事費増・大企業富裕層優遇、市民生活切り捨ての一層の深化を招く。

法人税を7兆円上回る

 歳入では、低所得者の負担が大きい消費税依存が進み、他の税目を逆転して1位になった。

 2019年度予算では所得税19・9兆円、法人税12・9兆円、消費税19・4兆円となお僅差で所得税が1位だった。これが20年度予算では所得税19・5兆円、法人税12・1兆円、消費税21・7兆円と逆転した(図1)。




大軍拡で侵略軍化

 歳出では、軍事費拡大、大企業利潤保障、生活切り捨てが続く。

 軍事費は5兆3133億円(前年度比559億円増)で8年連続の増額、6年連続過去最大となる(図3)。F35ステルス戦闘機(1074億円)、巡航ミサイル取得(136億円)、スタンドオフ電子戦機開発(105億円)、F2戦闘機後継機開発(100億円)、いずも空母化(31億円)など侵略軍化がさらに進む。



 沖縄・辺野古新基地建設費840億円(前年度比133億円増)やイージスアショア発射装置費(115億円)を計上し、地元の反対もどこ吹く風と強行姿勢を続ける。

 日米軍事同盟最優先の安倍の下で、米国からの高額兵器購入費用は4713億円に達する。米国宇宙軍創設に呼応した「宇宙作戦部隊(仮称)」創設には宇宙関連に506億円を費やす。中東派遣費用も金額を明示せずに織り込んでいる。閣議決定(12/27)以前の段階で「いつでも派兵できる」財政的裏付けを作った。

 19年度補正予算では、軍事費を4287億円も上積みした。これは国交省の「自然災害からの復旧・復興の加速」3990億円を上回る。しかもパトリオットミサイルの改修費など20年度予算の前倒しであり、当初予算を少なく見せるためのトリックだ。

 20年度にはローンにあたる「後年度負担」が5兆4310億円と膨らみ単年度予算額を超える。安倍は中期防衛力整備計画(19年度〜23年度)で軍事費を27兆4700億円と定めており青天井だ。

大企業に利益提供

 マイナンバーカードのポイント還元関連予算に2458億円を充てる。還元原資に2000億円、システム改修等事務経費に458億円を計上している。還元上限は5000円と、利用者にさほどのメリットはない。喜ぶのはIT業界で458億円が転がり込む。

 19年度補正予算でも「小中学校ひとり1台パソコン配置」として2318億円を支出する。安倍の「鶴の一声」による大盤振る舞いだ。業界利益は単年度ではない。自治体が負担する維持管理費も含めれば、長期に利益を保障される。「5G減税」も含めバラマキがはなはだしい。

 ゼネコンへの対策も忘れていない。補正予算では「災害復旧・治水対策」と銘打って7501億円を計上した。20年度予算で通常分6兆8000億円に「国土強靭化」枠で7902億円を積み増した。

市民生活は締めつけ

 生活関連予算は極めて貧弱だ。

 「幼保無償化」には8858億円を組んだものの、受け皿整備は1144億円。肝心の保育労働者確保策は、保育士を目指す人への学費貸付=教育ローンのみ。人手不足の根本原因は、低賃金・長時間労働だ。国費を直接投入し、労働に見合った賃金を確保しなければ保育士不足解消はできず、子どもの人権保障としての保育の質向上は望めない。

 高齢化に伴う社会保障費の自然増は1200億円圧縮した。その一方で、地域医療解体につながる病院統廃合は84億円の補助金を予算化してでも推し進める。

 「軍事費削って、社会保障へ、教育完全無償化へ」の声を地域に広げよう。
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