2020年01月31日 1610号

【命まで脅かす消費税/大企業・富裕層課税強化を】

 2020年税制改革大綱は、大企業・富裕層優遇が維持・拡大された。「消費税逆転1位」の要因だ。

新たな優遇策

 12月14日に閣議決定された20年度の税制改革大綱は、またもや大企業・富裕層優遇を維持・拡充した。

 次世代高速移動体(5G)通信網を導入した法人は、導入した設備額の15%を法人税から差し引くなど優遇される。総務省から5Gを割り当てられたのはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の4社。事実上、通信大手への「隠れ補助金」だ。その税額控除の規模は、19年8月の総務省による事前の見込みでは5%(初年度235億円)だったが、「安倍首相の意向」で3倍の15%にまで引き上げられた。

 ベンチャー企業に出資する際の軽減措置も新設された。(1)設立後10年未満(2)株式非上場のベンチャー企業に大企業が1億円以上出資(中小企業は1千万円以上)すれば、株式取得額の25%を法人税課税所得から差し引く。だが中小企業に出資する余力はない。

 富裕層にも減税措置を拡充する。NISAやiDeCoといった投資信託の非課税枠拡大は、年金への不安を逆手に取った金融商品への誘導だ。また、個人投資家がベンチャー企業に出資した場合の優遇措置(エンジェル税制)の適用要件も緩和する。

生存権を侵害

 日本の消費税はライフラインや食料品にも課税する。憲法で生存権を保障する以上、本来許されないものだ。

 2018年人口動態統計では、死因「食料の不足」=餓死が22人、同「栄養失調(症)」が2069人だ(図4)。また、全世帯の13・7%が「食料の困窮」を経験し、ひとり親世帯では36・1%に上る(「子供の貧困対策」19年2月内閣府)。命にすら手をかけるのが消費税だ。だが、消費増税10%の初日、財界からは早速「14%以上になることが望ましい」(経済同友会・桜田謙悟代表幹事)との発言が飛び出した。生存に必要な財産には課税しない∞租税負担能力に見合った税負担≠ェ近代税制の原則だ。消費税廃止と大企業・富裕層への課税強化で公平な税制に戻すべきだ。

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