2020年01月31日 1610号

【「議会を変える、市民と変える」 京都府向日(むこう)市議 杉谷伸夫 子ども医療費無料の請願実現へ】

 昨年6月に、子どもの医療費無償化を巡る向日市での動きをお伝えしましたが、その後の第2弾報告をします。

 6月議会では、京都府が中学校卒業までの子どもの医療費助成を拡充することを受け、その予算を使って向日市でも中学校卒業まで医療費無償化が可能なことを明らかにしました。ところが、市は「医療費無償化だけが子育て支援ではない」などと主張し、実施しませんでした。

 これに対し、昨年12月の議会に市民団体から「中学校卒業まで医療費の無料化を求める請願」が出されました。議会では「子育て支援は最優先課題」「京都府内の大半の市町村が実施している」「財源はある」など多くの議員から賛成意見が述べられ、反対意見は皆無。そして賛成多数で採択されましたが、採決結果は保守系議員が反対したため10対9の僅差でした。

 市民の請願を議会が採択しました。実行するためにはその予算を組まなければなりません。予算編成権は市長にあります。市長が議会の請願採択を受け入れて予算化すればよいのですが、その後の動きを見ていると厳しいと感じています。

 さて、どうするか。

 議会には予算修正権があるのだから、修正すればいいじゃないかと思われるでしょうが、簡単ではありません。請願に賛成した議員も、予算の修正となると考えは様々です。請願の採決結果も10対9なので、賛成者のうち1人でも修正に反対すれば修正案は通りません。

 しかし、市民の請願を議会が採択したからには、実現する責任を議会は問われます。「議会の請願採択を無視した市長が悪い」で済ませることはできません。予算を最終的に決定するのは議会なのですから。20人の議員の1人にすぎませんが、最大限の努力をしたいと思います。

 子どもの医療費負担をめぐっては、そもそも国が「子育ては親の責任」として、子どもの医療費を現役世代の大人とほぼ同様の負担にしていることが問題です。これに対して、自治体が独自に財源を捻出して子どもの医療費助成を拡充してきました。ですが今、財政事情等で自治体間に大きな格差が出ています。国の制度の根本的な転換を求めていくことが必要です。

 2月下旬から予算議会が始まります。市民の請願を実現できるよう、知恵を絞って取り組みたいと思います。
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