2020年02月07日 1611号

【新基地阻止へ県は権限行使を 沖縄平和市民連絡会が要請 沖縄の出撃基地化を許さない】

 1月11日、海上自衛隊第5航空群のP3C哨戒機2機がアフリカ東部ジブチの自衛隊基地に向けて那覇基地を出発した。米イラン関係が緊迫する地域に戦闘部隊を派兵した。県出身者6人を含む60人の部隊は「美(ちゅ)ら海の防人(さきもり)」と名付けられ普段は尖閣諸島など南西諸島海域を警戒監視する。哨戒機をスクランブル緊急発進させる精鋭部隊だ。

 南西諸島への自衛隊部隊配備を強める安倍政権は、沖縄をアジア・アフリカ派兵の前線基地と位置付ける。辺野古新基地も、もし完成すれば自衛隊の出撃基地とする狙いがある。だから基地建設を諦めないのだ。

計画変更申請の却下を

 沖縄防衛局が昨年末に開催した第3回技術検討会で、新基地建設に向け計画内容や工法が大幅に変更されることが明らかになった。まもなく沖縄県への「計画変更申請」提出が予想され、新基地阻止はいよいよ正念場の闘いに入る。

 軟弱地盤と活断層の問題が「変更申請」を認めない二大重要事案となることは間違いない。沖縄県が「変更申請」を却下、または結論を遅らせれば、国はただちに県を提訴するもくろみだ。他にもさまざまな手を使って国に抗えさせないことを狙う。こうした策動に県が毅然とした対応をとることが求められる。

県に取り組みを要請

 1月14日、市民団体・沖縄平和市民連絡会が県に提出した要請書「辺野古新基地建設事業を阻止するための県の取組強化を求める要請」は、県の姿勢が揺るがぬよう激励し新基地阻止へ直面する課題への取り組み強化を求めるものだ。

 その内容を紹介する。

 要請の第1は、沖縄防衛局からのサンゴ類移植のための特別採捕許可申請等の提出に対し、最高裁で関与取消訴訟が却下された場合でも、抗告訴訟の最終判断が出るまでは判断を保留する方針を続けることだ。

 現在国との間で2つの裁判があるが、行政手続きをめぐる関与取消訴訟は県の埋め立て承認撤回の是非を判断するものではない。埋め立て予定海域に生息する3万8千群体のサンゴ類の採捕許可は、承認撤回そのものを争う抗告訴訟の結果を待ち、簡単に許可を出さないよう求めている。工事をさせないために重要だ。

 第2に、県土保全条例を早急に改正し、鉱山(採石場)にも適用して乱開発を防止し、国の事業も条例の対象にすることだ。

 これは、予定していた県外からの土砂搬入取りやめで、名護市から本部(もとぶ)町にかけた広大な鉱山がさらに大きく削られてしまうことが考えられるからだ。辺野古ダム周辺からの土砂採取が開始されることを防ぎ、さらに石灰石は適用除外とする県の判断に変更を求める。県土保全条例を駆使して、違法な土砂採取を止めさせるための要請だ。

違法許さず規制強化を

 第3に、琉球セメント安和(あわ)桟橋と本部町塩川港からの土砂海上搬送について、辺野古への土砂積出は目的外使用であり、ただちに公共用財産使用許可を取り消すこと。老朽化が著しい旧桟橋への立入調査を早急に実施し、直ちに撤去させること。雨天時の土砂運搬・堆積は赤土が流出しているため対策を講じさせること。塩川港の岸壁使用許可申請を着岸のたびに提出させること。

 今のような安和桟橋、塩川港での土砂搬送は明らかに違法であり、県による行政指導をきっちりと行うことを改めて求めている。

 第4に、海砂採取の規制を強化し、採取船の航跡記録などを規定どおり提出させ、年間の総量規制を早急に定める。ジュゴンや海草(うみくさ)への影響が危惧される海域での採取を禁止すること。

 これらは、大きな環境破壊が危惧されるため強い規制を求めているものだ。

 玉城デニー知事は、県の行政権限をもって辺野古新基地建設を阻止するという自らの公約を今こそ実行する時だ。     (N) 





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