2020年02月07日 1611号

【ノー! ハプサ(合祀)第2次訴訟  国際人権法違反を問う 控訴審がスタート】

 靖国神社に無断合祀された韓国の遺族27人が2013年10月、合祀取り消しを求めて東京地裁に神社と国を訴えたノー!ハプサ(合祀)第2次訴訟の控訴審第1回口頭弁論が1月20日、東京高裁で開かれた。

 ほぼ満杯の傍聴席を背に原告の朴南順(パクナムスン)さんは「一審判決(19年5月28日)まで5年7か月もかかった訴訟だったが、裁判官はわずか5秒で逃げるように法廷から去った。戦争被害の人権回復を訴える声に耳を傾けるどころか、忖度(そんたく)判決だ。失望を超え、怒りを感じた」と不当判決を強烈に批判した。

 大口昭彦弁護団長は国際人権法に基づき日本の非人道的対応を追及する。「一審判決は、靖国神社が韓国人にとってどういう存在か、全く踏み込まず合祀の手続き問題に矮(わい)小化させた。植民地支配と神社との関係がすっぽり落ちている。原告の苦しみを考える前提、事実が無視され、訴えは個人の感情にすぎないという極めて薄っぺらな判決。韓国と日本の社会・文化の違い、個人、遺族の人格権を認めず、国際人権法・人道法に違反するものだ」

関係悪化は安倍のせい

 夜に開かれた「韓国人靖国無断合祀・軍人軍属強制動員問題の解決を!1・20集会」で、太平洋戦争被害者補償推進協議会共同代表の李熙子(イヒジャ)さんは日韓関係に触れた。「韓国内では日本製品の不買運動が起こっているが、『日本人が嫌だ』という声ではなく、安倍政権ノーの意思表示。関係を悪くさせているのは安倍だ。日本企業は、安倍の話を聞かずに財団でも作って、政府・企業が支出すれば済む簡単な問題のはず」。大法院判決について「私たちは韓国政府からも他からも力をもらったことはない。皆さんの支援の力で歴史的な判決を勝ち取ることができた」と話した。

 強制動員問題解決と過去清算のための共同行動・矢野秀喜さんは「日本企業は韓国の裁判所に出廷して審理に参加し下級審では勝訴。それが大法院で覆されたら判決には従わないという身勝手な話だ。民事事件として争っている事柄に日本政府が介入し妨害することで解決を遠ざけている」と安倍政権を批判した。



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